大多数が転職しないからこそ
少数の「転職組」にチャンスがくる
もし、転職活動の結果はすべて「市場価値」によって決まってしまって、「自分が本来持っている実力」に適したレベルの企業、適したレベルの年収しか狙えない、ということであれば、転職には夢も希望もないじゃないか、と私は思います。
例えば、いま、自分の年収が300万円で、簡単な事務作業の経験しかない場合、それに見合った、年収300~350万円くらいのポジションしか現実的に狙うことができないのであれば、転職は、ただのクソゲーです。
実際には、そんなことはありません。
自分という人材を「誰に」「どうやって」売るかという、自分自身の努力次第で、現在300万円の年収が、あっという間に400万円にも500万円にもなるチャンスがあるから、転職は面白いのです。
実際、私自身も転職によって年収が20代の頃の4倍以上になりました。
恐らく、こんなことが起こり得る理由の一つは、日本の転職市場において「市場原理」が上手く働いていないからだと思います。
日本人のほとんどは、転職をしません。そのため、転職市場には非常に限られた人材しか売りに出されていないのが実情です。
もし、日本の労働市場の流動性が高く、誰もが次々に転職をするような状況であれば、「市場価値」が高い人だけが転職の勝者となり、「市場価値」が低い人は何をやっても転職できない、 という厳しい世界になるでしょう。
仮に、転職市場に優秀な人材が溢れていて、企業が人材を選び放題なら、「市場価値」の査定はどんどん厳しくなり、採用を見送っても次の人材がすぐ来るので、「確かに優秀そうな人ではあるが、他にも候補者はたくさんいるから、高い年収を提示してまで焦って採用しなくても良い」という考え方にもなりかねません。
もし今後、転職を考える人が増え続ければ、本当に高い年収を得られるのは、「市場価値」が極めて高くて優秀な人だけ、という傾向が強まるでしょう。
2022年現在、実際にはそうなっていないのは、日本の労働市場の流動性が恐ろしく低く、企業は、分かりやすい「市場価値」だけで採用を決めるわけにはいかないからです。
ある意味、多くの人が転職を考えない「日本という国」で働いているからこそ出会えた、ラッキーチャンスだと思います。
このチャンスを、獲りに行かない手はありません。ほとんどの人が転職をしないからこそ、ごく少数の「勇気を出して転職をしようとする人」にはチャンスが巡ってくるのです。