ハイジでは、従業員サーベイを通じて分類されたハイジーンファクターのスコアを算定し、課題を可視化する。では、新型コロナ感染拡大以前と以降とで、ハイジの利用企業ではスコアにどのような変化が見られたのか。まずはリモートワークを3月中旬から導入したA社と、リモートワークを導入していないB社のケースを見ていく。

リモート導入で執務環境に好評価の一方
「雑談」不足に悩むA社

 福利厚生サービスを提供する上場企業A社は、営業部でハイジを導入している。リモートワークが始まったのは3月中旬のことだ。

A社におけるコロナ前後のハイジーンファクターの比較 提供:OKANA社におけるコロナ前後のハイジーンファクターの比較 提供:OKAN
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 A社では「執務環境」のスコアが特に向上。また「リフレッシュ環境」「働き方に関する制度の充実」のスコアも上昇している。一方「社内の雰囲気」「休暇の取りやすさ」「働き方に関する周囲の理解」「メンタルヘルス」「家庭やプライベートの充実」「生活負担の軽減」については、スコアが下がった。

 A社の人事担当者は、この結果について「通勤しなくてもよいことが従業員に評価され、執務環境や制度の充実についてスコアが向上した」と見ている。一方、リモートワークを始めたばかりの頃は、家庭での時間の切り分けが難しかったようだ。「それが周囲の理解やプライベートの充実、生活負担の軽減といったスコアの低下に表れているのかもしれない」と述べている。

 リモートワーク導入で困っていることとして、担当者が挙げるのは「コミュニケーション」。「雑談など、どうでもいい話が足りなくなり、気づきが得にくい。例えば『どこの部署が今忙しそうか』といったことが察知しにくくなっている」という。

 リモートワークが進んだことで、興味深い変化もあるそうだ。もともとA社では、育児休暇明けのスタッフは在宅勤務を行える環境・制度があったが、営業部門では今回初めて在宅勤務を取り入れることになった。そこで「必要なスキルが変わった」というのだ。

「空気を読んで現場で提案するタイプでないために営業が苦手だったメンバーが、ウェブを通じた営業ではうまくいっているというケースも現れている」(A社担当者)

 A社では、4月以降もハイジで再調査を進めており、リモートワーク開始時からのスコアの変化にも今後注目していくと担当者は話している。

コロナへの不安がスコアに反映
テレワーク導入検討を始めたB社

 続いて紹介するB社は、健康経営に関するコンサルティング事業を行う中小企業で、クライアントへの提案に役立てるため、自社でもハイジを導入した。ハイジでサーベイを実施した3月時点で、リモートワークは未導入だ。

B社におけるコロナ前後のハイジーンファクターの比較 提供:OKANB社におけるコロナ前後のハイジーンファクターの比較 提供:OKAN
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 B社では、会社を移転した直後の2019年12月に前回のサーベイを実施。約3カ月後の今年3月、対照のために再度サーベイを実施したのだが、偶然、新型コロナ感染拡大と時期が合った。結果として「チームワーク」「適正な労働時間」「フィジカルヘルス」については大きくスコアが向上。「執務環境」「社内の雰囲気」も数値が上がっているが、「働き方に関する制度の充実」「メンタルヘルス」のスコアが大きくダウンした。