利用料金は「通常プラン」で24時間70円(同月内で最大420円)、「使い放題プラン」で月額280円となっている。
今回のアップデートはアプリの提供開始だけではない。傘そのものの耐久性も高めた。傘やレインウェアを製造するサエラと組み、より高品質で耐久性の高い傘を開発。従来の傘は骨が1本でも折れてしまえば使えなくなってしまったが、アイカサが提供する新しい傘は「骨1本から修復が可能」になった。半永久的に使い続けることができるため、より環境に優しいサービスになるといえる。紛失や盗難にあっても、アイカサは警察と連携しているため、廃棄処分になる傘が大幅に削減される。
アイカサの登録ユーザー数は2020年5月時点で9万人を超えた。雨や雪が多く降る季節にユーザーの利用が伸びるサービスだが、環境省が推進する「熱中症予防声かけプロジェクト」と連携し「日傘仕様」のアイカサをリリースするなど、利用者との接点を増やす工夫も見られる。
まずは都内全駅への展開を目指す
4月15日時点での設置スポット数は約850箇所。関東は東京、神奈川、埼玉、茨城。九州は福岡。中国・四国では岡山でサービスを提供しており、今後はさらに全国に拡大していく。6月には神戸、7月には奈良、8月には大阪、8~9月からは京都でも利用可能となる予定だ。
丸川氏いわく、利用の多くは駅の近くから。昨年はJRや小田急電鉄、西武鉄道などの鉄道会社との連携を強めてきたが、「まだ多くの潜在顧客にはリーチできていない」(丸川氏)ため、今後も引き続き駅周辺へのスポットの設置を急ぐ。まずは都内のJR・私鉄全駅でアイカサが利用できることを目指す。
だが課題も多い。新型コロナウイルスの感染拡大により、鉄道の利用者は大幅減。「展開している主要エリアでは利用の低下が見込まれる」(丸川氏)ため、プロダクトを新しくしても気づかれない可能性がある。そのため同社では、クラウドファンディングを実施。1年間サービスを利用できる定額プランや、自宅にアイカサを届ける体験プランなどを用意し、ユーザー開拓を進めている
新型コロナの感染拡大はシェアリングへの逆風
今後の展開については、新型コロナの影響がどの程度長引くか、そしてライフスタイルの変化がどの程度定着するかに大きく左右される。丸川氏は「早稲田大学など学校にも設置させていただいており、キャンパス間の移動の際に良く使われている。このようなモデルケースを地域の商店街に移す可能性もなくはない」と述べる。同氏いわく、アイカサではもともと、駅への設置の次には、移動の始まりと終わりである住宅地、そして勤務先や学校もおさえていく方針だったという。