またコロナ禍の影響を受け、シェアリングエコノミーが新たな「共助のモデル」として活躍している側面もあると石山氏は指摘する。例えば神戸市とUber Eatsとの連携では、飲食店支援を目的としたテイクアウト利用時のサービス手数料減免などの施策が行われている。このほかにも医療支援、休校・休園に対するユーザー支援や、akippaが実施した、日常生活で車での移動が必要な人への割引クーポン配布といった施策を実施する事業者も出ている。石山氏は「ビジネスモデルとして、緊急時に“所有する人”と“必要とする人”のオンラインでのマッチングや、無料化、手数料変更などが瞬時に可能な点がシェアエコノミーの特徴」とコメントしている。

 また、感染拡大予防のための対策を比較的早い段階で打ち出す事業者も出ている。「教えたい人」と「学びたい人」のマッチングサービスを提供するストリートアカデミーの例では、これまで同社が正式に認めていなかったオンライン講座が4月からサポートされるようになり、6月1日からは正式サービスとしての対応が始まった。新型コロナ感染症の拡大防止のために、各事業者から「さまざまな対応策が出てきている」と石山氏は述べている。

「短期的にはインバウンド顧客中心のシェアサービス、サービス提供時に三密を伴う対面型シェアではダメージが続くと考えられるが、飲食店やデパートなどの事業者と同様、外出自粛の緩和に比例して、徐々に状況は戻っていくだろう」と石山氏は言う。ただし「今後、対面型のシェアサービスでは、衛生面で安全性への配慮や充実はより事業者としてコミットを求められるかもしれない」としている。

 長期的には、「都市部の企業に仕事を依存する働き方、都市に家を購入するといった暮らし方は見直される動きも出てくると考えている」と石山氏は言う。

「働き方や生き方そのものが見直され、より自由で柔軟性の高いライフスタイル、複数の収入源や居場所、コミュニティを持てる受け皿として、シェアリングエコノミーは期待されると思う。例えば住居のあり方として、月額4万円から全国住み放題のシェアサービス『ADDress』のようなモデルや、副業・兼業の受け皿としてシェアリングエコノミーサービスをホストとして利用する人が増えていくと考えられる」(石山氏)