コロナ禍で自治体からの引き合いも増えたというLEBER。既に茨城県とは、県内の約120万世帯、287万人の住民を対象に医療相談を9月30日まで無料で提供するプロジェクトを実施中だ。今後も「自治体を主としたプロジェクトを行っていく」と多賀氏は話している。
特に、緊急事態宣言の解除に伴い、各地で登校が再開された学校では、子どもの体調・体温管理が重要となっている。AGREEではLEBERを使って体温・体調管理ができるアプリ「LEBER for School」を開発。茨城県つくば市、つくばみらい市の市立小中学校への導入が決定している。
従来、体温記録の提出は紙で、体調の聞き取りは教師が行い、集計などで労力がかかっている。LEBER for Schoolでは、保護者にアプリを使ってもらい、書類の記載や手渡しの手間なく、保護者がアプリ経由で体温・体調を学校に報告することが可能。学校側は個々の児童・生徒の体温だけではなく、体温の平均や発熱率など、全体の状況を一度に把握できる。
「茨城県をモデルとして、LEBERやLEBER for Schoolの利用を全国へ拡大していく予定だ」と多賀氏は言う。
「シェアリングエコノミーは、ユーザーとホストをマッチングするサービスの総称で、オンラインもあれば対面のものもある。また中には三密状態が発生するものもあると思う」と多賀氏。「対面であっても、ベビーシッターサービスや家事代行サービスなど、リモートワークなどの浸透で必要とされているものもある」として、「健康管理が必要とされる分野で、生活拠点の不安を解消できるサービスを提供したい」と語る。
「リアルのコミュニケーションが必要となるサービスで、ユーザー、ホストの健康管理に、AGREEのサービスを役立ててもらいたい」(多賀氏)
シェアエコノミーは「新たな共助モデル」
柔軟な生き方の受け皿に
ここまで見てきたとおり、ひとくちにシェアリングサービスといっても、オンラインで提供可能かどうか、オフラインでも三密を回避するために活用できるかどうかといった条件により、新型コロナ感染症の影響による明暗や今後必要と考えられる対応は大きく異なる。
シェアリングエコノミー協会事務局長の石山アンジュ氏も、「非対面型のシェアエコノミーはそこまで影響を受けておらず、むしろ伸びているプラットフォームもある」との見解を示している。さらに対面型のサービスでも「サービス提供時の接点が一時的なものや、家事代行、ベビーシッターサービスで既に受注歴があり、ホストと利用者の間に一定度の信頼が築けているサービスでは、臨時休校・休園やリモートワークで子育てと家事の負担やコストが高くなっている状況で活用されているケースもある」と分析している。