「研修で東京にわざわざ来てもらっていたケースなどでは、移動をしなくても対応が可能になることで、むしろ裾野が広がる可能性もある。コロナをきっかけに、より多くの人にサービスの機会を提供していきたい」(宮崎氏)

「今回のコロナ禍をきっかけに、オフィスにずっといることが普通でなくなってきた。これまでは勤務時間としてバンドル化されていた時間の中から、すきま時間が生まれてくるようになっている」として、宮崎氏はコロナ共存時代のシェアリングエコノミーについて、以下のように語る。

「自由になった時間を使って、個人が新たに働く手段を確保したり、スキルを発揮したりする場面が増えると考えている。ポジティブかネガティブかの判断は難しいが、これまでの1社に所属して給与を企業から得ることだけが普通ということもなくなってくるのではないか。そうなれば、持っているモノやスキルを個人が積極的にシェアする流れは加速していくだろう」(宮崎氏)

アプリで24時間医師に相談できる「LEBER」は
ユーザー数が増加

 新型コロナ感染症について「経営的にはポジティブな影響が大きい」とするのは、“ドクターシェア”という概念で医師のすきま時間をシェアするプラットフォーム「LEBER(リーバー)」だ。LEBERでは、24時間・365日スマホアプリを通じて医師に相談できる。

 通常は利用毎の課金か月額課金により運営されているLEBERだが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、2月12日からコロナウイルス関連の相談を無料化。その後、ユーザーの不安軽減や医療崩壊防止を目的として、5月31日まで全ての相談を無料化した。また6月以降も、クラウドファンディング「READYFOR」を通じて実施したクラウドファンディングにより、約4万回分の無料相談を継続している。

 LEBERを運営するAGREE(アグリー)公衆衛生室長の多賀世納氏は「一般にオンライン診療は時間を区切って医師が対応する形が多いが、LEBERはチャットボットが質問、問診の多くの部分を担う。このため、医師の時間を減らすことができ、最後の数分を医師が対応すればよいという状態になっている」と説明。「この機能により、医療崩壊を防げるのではないかと専門家からも期待されている」と述べている。

 無料相談などの施策もあって、LEBERの利用は「ユーザー数、相談件数ともに増加した」とのこと。新型コロナ感染拡大前と比べて、4月までの実績で相談件数は4.3倍、登録ユーザー数は7.8倍に伸びたという。またLEBERでは相談件数の増加に合わせて、ホストとなる医師の数も増強した。1月時点で110名だったドクターの数は、現在は270名以上となっている。