二次流通業界が買い取れば買い取るほど、手数料で僕らももうかる仕組みなので、できる限り買い取ってもらいたいのが本音なのですが、出品者側よりも二次流通業界側の需要が大きく、もっと買い取りたいのにアイテムが不足している状態でした。
そこで、決済手段の選択肢のひとつとして「CASH」の仕組みが使えたら、もっとモノが買い取れるようになるのでは、と思いついたのが始まりです。
――今の時代に物々交換をするメリットは何ですか。
二次流通業界では、「モノ=お金」になります。例えば、お金がなくて新しい夏服を買えない人がいるとします。でも、去年の夏服は持ってますよね。物々交換ができれば、去年の夏服で今年の夏服が買えるんです。「お金を使わずにモノが買える」というのは、消費者にとっても便利なのではないでしょうか。
――「モノ払い」のサービスは拡大していきますか。
すでに、エボラブルアジアが運営する旅行予約サイト「エアトリ」や、セレクトショップの「ナノ・ユニバース」が導入しており、今後も広まると思います。古代からある売買の手段“物々交換”を現代版に生まれ変わらせることで、一周回ったブームがつくれたら面白いですね。
マス向けのサービスを生み出す「奇跡」を起こしたい
――奇抜なサービスをどんどん生み出していますが、行動の原動力は何ですか。
誰もが知っていて誰でも使える、マス向けのサービスをつくってみたい。これが一番のモチベーションです。
マス向けのサービスを生み出すことは、 “奇跡に近い”と思っています。例えば、「日本のマスのサービスを10個挙げてください」と言われて、すぐに浮かびますか?ヤフオク、メルカリ、食べログ、ぐるなび、クックパッド…多くの人が、これくらいで止まってしまいます。毎日たくさんのサービスが生まれているのに、たった10個も挙げられない。それだけ誰もが知っているサービスを生み出すのは、難しいことなんです。
――難しいけれど、挑戦したいのですか。
広告業界に「アレオレ詐欺」という言葉があります。大勢の人が携わったプロジェクトについて、「あれは俺がつくった」と自慢する男性を皮肉して例えたものなのですが、僕は胸を張って、「アレ、オレだぞ」と言いたいのかもしれません。インターネットを使えば、誰もが知っているサービスを本当に自分自身の手でつくれるかもしれない。
――「STORES.jp」をZOZOに、「CASH」をDMM.comに、それぞれ売却後MBO (マネジメント・バイアウト:経営陣による買収)しています。自身が生み出したサービスを育てていくことと新しいサービスをつくること、どちらに価値を見いだしますか。