アート業界の構造はビジネスに応用できる
――今、注目している業界はありますか。
アート業界です。もちろんアート自体も好きなのですが、アート業界特有の仕組みや構造はとても面白いです。
数億円で絵画を購入してみたんです。「よくわからない絵に数億も払ったの?」と周りからは言われましたし、買う前は僕自身も同じように思っていたんですが、実際に買ってみて、価値の概念が180度変わりました。アートを買うことは“消費”ではないんですよね。数億円のモノを数億円の現金と交換しているだけで、僕の手元にはまだモノとして数億円の価値が残っている。しかも、絵の価値は今のところ日々上がっています。数億円を失わないどころか、むしろ値上がりしているモノを所有し、家に飾って楽しむこともできる。得しかしていないですよ。
アート業界の構造は、他の業界でも応用できると思っています。世の中の価値の主軸が、お金からお金以外のものに移り始めているんです。僕は、いずれお金自体には価値がなくなると思っています。
――今後計画しているビジネスがあれば教えてください。
当分は、既存事業に注力します。本当は、今年「不動産」のサービスをつくりたかったのですが、タイミングが重要なので。あれもこれも手を出して中途半端にならないよう、選択と集中をしています。
――バンクが目指す今後の展開を教えてください。
「CASH」には、20~50代まで幅広い年齢層で、約100万人のユーザーがいます。また、メルカリは現在8000万ダウンロードを超えているそうです。簡単に言えば、高齢者と子ども以外の大多数がダウンロードしていると言っても過言ではないほどのダウンロード数です。「モノを現金化したい」という需要がマスにあるからこそ、起きた結果だと思っています。「お金が欲しい」という需要は、世代や属性関係なく根源的にあるものなんです。
バンクは文字通り“お金”をテーマにしている会社です。世の中には、お金がなくて一歩踏み出せない、断念せざるを得ない状況が、多々起きていると思っています。それをできるだけ素早く簡単に解決するサービスをつくっていきたいです。
既存のサービスだけだとこの需要は埋められないので、新しいサービスをこれからもつくっていくことになると思います。