Kyashを世に出してから約2年半。地道に個人向けのアプリに磨きをかけつつ、新たな事業の柱となる法人向けのプロダクトもスタートする中で、ついに「ペイメントからバンキングへの進化」を見据えたチャレンジャーバンク構想の実現へと動き出す。今のKyashはそんな状況に差し掛かっている。

チャレンジャーバンクが変える「アクセシビリティ」

 冒頭でも触れた通り、今グローバルではチャレンジャーバンクと呼ばれるスタートアップの勢いが増している。

 チャレンジャーバンクの代表格として名前が挙がることの多いドイツのN26(推定時価総額 : 約35億ドル)、イギリスのMonzo(推定時価総額 : 約26億ドル)、ブラジルのNubank(推定時価総額 : 約100億ドル)、アメリカのChime(推定時価総額 : 約58億ドル)。これらはどれも企業評価額が10億ドル(日本円で約1000億円)を超える、いわゆるユニコーン企業だ。

 細かな設計や機能はそれぞれ異なるが、共通する特徴は「アクセス性の良さ」だ。ユーザーはスマホ1つで口座開設、決済、国内外送金、投資、融資などを行うことができ、それぞれにかかる手間や手数料も既存の口座と比べて少ない。必要な情報を用意しておけば数分足らずで口座を開設できてしまう手軽さ、条件を満たせばクレジットカードの発行や現金引き出しも無料でできてしまう使い勝手の良さはチャレンジャーバンクの特徴だ。

 また情報伝達のスピードが高速化することによって、チャレンジャーバンクだからこそ実現できるような機能も生まれている。例を挙げるとChimeを筆頭にアメリカの企業がこぞって訴求している「給料の2日前入金」。これらの機能をモバイルに最適化して提供することが、ミレニアル世代をはじめとする利用者の増加につながっている。

 こうしたチャレンジャーバンクの概念は「既存の銀行業務をデジタルチャネルに乗せる」というネットバンクの考え方とは全く異なるものだ。

「スマホの裏に銀行口座が備わるような感覚に近い。従来の銀行業務の制約を受けることなく、ユーザーファーストで最も適した体験を考えられるのが強み。これによってアクセシビリティーが劇的に変わることで、その上で運ばれるものや行われることも変わる」(鷹取氏)

 鷹取氏が一例として挙げたのが、日々のコミュニケーションツールがメールからチャットに切り替わったことによる変化だ。LINEのようなチャットサービスが普及した昨今、多くの人が友人や家族と気軽に写真を共有し合ったり、たいした意味もなくスタンプを送り合ったりしている。では同じことをメールが主流だった数年前も行っていたかというと、そんなことはない。