2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

「何が正しいのか」よりも、「何が楽しいのか」を追求する生き方を選ぶ

 私たちは、「こうでなければならない」とか、「こうあるべきだ」という価値観に、がんじがらめになっている気がします。

 ですが、その価値観はいったい誰が決めたのでしょうか? それが正しいと誰が決めたのでしょうか?

 講演会の参加者から、「私たちはこうあるべきですよね」といった質問をいただくことがあります。そんなとき私は、「誰がそれを決めたのですか?」と逆に質問をすることがあります。

「べきだ」「ねばならない」という考えにとらわれるのをやめ、「何が正しいのか」という考え方からもなるべく離れるようにして、「何が自分にとって楽しいのか」を考えてみたらどうでしょうか?

 今まで私たちは、「夢や、希望を追い求めるのが、人生である」と教え込まれてきました。

 しかし、「夢や希望がたくさんある」ということは、言葉を換えると、足りないものがたくさんあり、「あれも欲しい、これも欲しい」「あれも足りない、これも足りない」と言っているのと同じだと思えるのです。

 自分の目的や生きる方向を明確にすることをやめて、「自分がそのように動く羽目になったら、そのようにする。やる羽目になったら、それをやる」といった自由な立場で生きていくのはどうでしょうか。

 水には、形がありません。水は、私たちに「人間の自由のありよう」を教えてくれているような気がします。

 水は、変幻自在です。四角い器に入ると四角い形になり、丸い器に入れば丸くなります。川に流れた水は川の形になり、湖に流入すれば湖の形になります。

 ゆっくり流れているときもあれば、激しく流れているときもあります。滝のように上から激しく落ちている場合もあります。

 海に至れば、風のない日はおだやかでゆっくりしていますが、ひとたび荒れ狂えば、岸を壊すこともあります。

 水には形がなく、自分が置かれた状況に合わせて変化をします。液体から、気体や固体に変化することもあります。

 温度が高まればやがて気体になり、温度が下がっていくと動きにくくなって、やがて「氷(固体)」になります。水は、手に取ることができる「氷」から、目に見えない水蒸気にまで姿を変えるのです。

 水は、自分が与えられたものに対して、「ただ相手が望むように」自分の形を変えます。

 けれど、それについて、「不平不満・愚痴・泣き言・悪口・文句」を言うことはいっさいありません。それどころか、私には、変化を楽しんでいるようにすら見えます。

「何が正しいのか」「何が間違っているのか」を突き詰めるのではなく、「自分にとって、どういう生き方が楽しいのか」を考えていくのが、もっともラクな生き方ではないでしょうか。

 正しい生き方を貫こうとするあまり、自分のまわりとトラブルを起こしたり、争ったり、競ったり、怒ったり、憎しみを感じたりするよりも、本当に笑顔で生きていくことを模索する……、そのための方法はひとつしかないように思います。

「正しさ」を追い求めようとせず、「楽しさ」を追い求めることではないでしょうか?

「正しい生き方」からもう一歩進んで、新しい生き方、つまり「楽しい生き方」へ足を踏み出してはいかがでしょうか?