「またかよ!」山崎まさよしが今度は公演ドタキャン、それでも“仕方ない”と言えるワケ山崎まさよし氏が再びファンの間で物議を醸している Photo:JIJI

12月10日、シンガーソングライターの山崎まさよし氏が、ツアーファイナルに当たる丹波篠山市の公演を当日出演キャンセルしたことで波紋を呼んだ。急性咽頭炎が出演を取りやめた理由であり、正式な病名を目にするとピンと来にくいが、いわゆる「のど風邪」(と呼ばれたりするもの)である。

 これを受けて、氏の体調を優しく気遣う声がある一方で、中止を残念がる声や批判も聞こえてきている。10月21日の水戸市の公演で「曲少なめライブ」を披露して物議を醸したばかりであり、その件に関しては希望者へのチケット払い戻しと後日本人から反省と謝罪の弁があったものの、そこからあまり日を置かずしてのこの“当日公演中止”という事態に、世間はざわついた。

 本稿では、ボイストレーナーの経験があり、またステージの舞台裏をやや知っている筆者が、この件についてなるべくフラットな意見と、諸氏の判断材料が増やせるような情報をいくつか提供していきたい。(フリーライター 武藤弘樹)

立地やホールの規模で
アーティストのテンションは変わるのか?

 まず、「地方のステージだから気乗りせずドタキャンに至ったのではないか」という憶測がある。丹波篠山市は大阪駅から電車で1時間強の距離にある地方都市である。

 また、当日キャンセルの2日前・12月8日に行った公演は大阪・NHK大阪ホールの席数1400超の規模に対して、千秋楽公演予定だった丹波篠山市立の田園交響ホールは収容人員800人で、NHK大阪ホールに比べれば規模はグッと小さくなる。

 演者はどうしても人間なので、場の雰囲気や規模、当日の体調によって、ステージに臨むテンションにはバラつきが出る。そこを極力均等にならして、「客が1人でも目の前にいれば全力で演じきる」といった信条を胸に日々のステージに臨むのが、おそらく目指されるべき理想的なプロの姿であり、デビューから30年の間、一線級のシンガーソングライターとして過ごしてきた氏にその精神も一定程度備わっていたはずである。