アーティスト本人の説明と
お詫びで避けられる炎上もある

 では口パク反対のアーティストは、ステージの日に喉の調子が悪くならないようにお祈りするしかないのか。これはある意味そうだが、喉の調子が悪かった際に取りうるアプローチがあって、これが意外に効果を上げることがある。

 それは、「観客にしっかりお詫びする」である。「喉が不調なので全然歌えないけど、その分いつも以上に一生懸命歌います」や「今日は喉の調子が悪いので公演中止とさせていただきました。本当にごめんなさい」とアーティスト本人が客に伝えると、観客の心証を大幅に改善させられる可能性がある。「ステージに出てきて観客に直接」が一番効果が高そうだが、SNSで本人が行ってもよろしかろう。今回の場合、山崎氏はステージで直接お詫びを行ったと報道されている 。

 もちろん、それをどう受け止めるかは観客の自由なので「仕事を休んで遠方からはるばる来たのに」と立腹する観客はいていい。ただ実際に、そうしたケースでアーティスト本人からお詫びと説明を受けて、公演キャンセルを残念に思いながらも「ならば仕方ない」と納得する観客も少なくないのである。

 今回の氏の一連の件は、かなり大事になった。情報共有がすさまじいスピードで行われるSNSがあってこそ注目されたトピックと見える。

 本稿には、現在以降の演者が胸に留め置くべき「喉が不調時のステージ危機管理ノウハウ」と、観客がむやみに邪推してイライラしたりすることないための処世術、この2つを記したつもりである。参考になれば幸いである。

【訂正】 記事の一部に事実と異なる記述があるとの指摘を受けたため、訂正し、お詫びします 。
・4ページ/2段落の末尾に以下の一文を追加します。
「今回の場合、山崎氏はステージで直接お詫びを行ったと報道されている 。」
・4ページ/3段落末尾の以下の一文を削除します。
「山崎まさよし氏がこれをやっていたら、世間の反応は少し違ったものになったかもしれない。」
(12月26日19:25:ダイヤモンド・ライフ編集部)