「圧倒的に面白い」「共感と刺激の連続」「仕組み化がすごい」と話題の『スタートアップ芸人 ── お笑い芸人からニートになった僕が「仲間力」で年商146億円の会社をつくった話』著者・森武司氏は、2005年の創業以来、18年連続増収増益を達成し、年商146億円となった。ここまで会社を成長させてきた秘密は何か? 本書からより深い学びを得ようと、インタビュー企画を実施。今回、本書を読み解くのは、チャンネル登録者数累計195万人超え!大人気YouTuberコヤッキー氏だ。そんなコヤッキー氏は『スタートアップ芸人』をどう読み解いたのか。(構成・橋本淳司)
視聴者の行動を促すために必要なこと
──他のYouTuberに比べてコヤッキーさんのチャンネルは、ファンの関係性が濃密で、チャンネルを応援したいという熱量が伝わってきます。 それが登録者数の増加につながっていると思うんですが、どんなことを意識していますか?
コヤッキー:『スタートアップ芸人』を読むと、森社長が情熱を持って人に接し、たくさんの人を仲間にしていく様子が描かれていますが、YouTubeでも情熱を伝えることは大切です。
YouTubeはお金を払わなくても見られるじゃないですか。
ですから、お金を使わない人たちをどうやったら熱狂的にできるかを常に考えています。
例えば、アイドルやアーティストにはファンクラブがあります。入会するとお金を払うから無意識に元を取ろうとします。ライブに行こうとか、グッズを買おうとか。
でも、YouTubeはタダなので、なかなか気持ちが動かない。
そういう人たちを熱狂させるのは、情熱の強さです。
──コヤッキーさんは具体的にどのように情熱を伝えていますか?
コヤッキー:絶対達成したい目標を掲げます。
例えば、音楽だったら「武道館に立ちたい」と言っています。
登録者数を増やしたいなら、動画の最後で「チャンネル登録してください」と言うだけではダメです。
この言葉はフォーマット化しています。
視聴者は聞き慣れているので行動には繋がりません。
ですから
「200万人を目指していますのでチャンネル登録をお願いします」
「月内に絶対130万人まで行きたいので登録お願いします」
と言います。
そうすれば、普段は登録してくれない人が登録してくれるかもしれない。
結局はその積み重ねです。
もう1つは積極的にイベントを開催します。
動画だけでは気持ちが届かないこともありますから、直接会って話し、
「こんなに熱い人だったんだ」
とわかってくれることもあります。
実際、僕と会った人たちは、
「思ったより背が高かった」
「画面で見るよりカッコよかった」
など、いろいろな反応をくれます。
そして、情報を発信すると、たくさんの人たちが関心を持ってくれます。
効率だけを考えると、YouTubeだけやっているほうが稼げるのかもしれませんが、より濃いファンをつくっていくには、オフラインでの地道な活動は絶対必要だと思います。
── どうして情熱の大切さに気づいたのですか?
コヤッキー:「YouTuberあるある」なんですが、テキトーにやってるとバレるんです。
どれだけうまくやってもごまかせない。
時々「オワコンになっているYouTuber」がいますが、ライバルが少ない時期に登録者数がバッと増えても、ライバルが多くなるとしぼんでいってしまう。
それは情熱が継続していないんです。
一度売れて満足してしまうと、つくり込みに時間をかけずに、お金の力で人任せにするので、コンテンツから情熱が伝わってこなくなります。
だから僕らは常に情熱にこだわります。
武道館に立ちたい、登録者数200万人を達成したい、都市伝説をもっとポップなカルチャーに育てたいといった熱い気持ちに人は動かされるので、常に持っておかないといけないと思います。
人間はそばにいる人の影響を受けるもの
──「毎日情熱を持って仕事に取り組む」と言葉にするのは簡単ですが、実際にやるとなると難しい。そういう人たちにアドバイスはありますか?
コヤッキー:毎日仕事をしていると、気分が落ち込むこともあるでしょう。
ただ、情熱のある人の側にいることが大事です。
自分自身が炎を燃やすことはできなくても、火の側にいたら暖かくなるじゃないですか。自分にゼロからイチを巻き起こす情熱はなくても、そういう人の側にいたら必ず影響を受けるんです。
『スタートアップ芸人』の中に「かばん持ち」の話が出てきます。
森社長が次のように書いています。
「人間誰しもそばにいる人の影響を受ける。
環境とは恐るべきものなのだ。
もし新人から数年間、孫正義さんの近くで仕事ができたらビジネスセンスが大きく磨かれるだろう。
こうした発想から、すばらしい人材には早めに役員のかばん持ちをしてもらっている」
すごい人の側にいると技術やテクニックを学べるだけでなく、その人の考え方や情熱まで自分に飛び火します。
だから、弱っているときほど情熱のある人の側にいることが大事です。
自分もメンタルがそんな強いわけじゃないですけれど、常に向上心があるポジティブな人の側にずっといました。
少なくともわざわざネガティブな人とつき合う必要はありません。
──コヤッキーさん自身が社員の方に向けて、何かされていることはありますか?
コヤッキー:いま社員が46人います。
昨年のクリスマスに、僕が総額100万円分のプレゼントを46個買いました。
グループLINEをつくって全員参加してもらい、プレゼントの画像が投稿されたら早い者順に取れるんです。
プレゼントには1~46までの番号が振ってあり、例えば15番のプレゼント画像が投稿されたら、一番早く15と書いた人がプレゼントをもらえる。
ただし、画像が投稿される日は内緒にしていて謎解きになっています。
僕らはエンタメ会社なので、僕が作った謎を解いてみんなでゲームをしました。
これも僕なりの1つの情熱の表現です。
それにみんなが巻き込まれて、
「いずれ独立して社長になったら社員みんなを楽しませよう」
と思ってもらえれば嬉しい。
やっぱり代表が楽しんでなかったら、下は燃え尽きちゃうんですよ、本当に。
「楽しいことをしようぜ」という情熱を上は常に持っておく必要があります。
YouTuber
「コヤッキースタジオ」、「コヤッキーチャンネル」、「コヤッキーVlog(仮)」を運営。 1983年、静岡生まれ。高校卒業を機に、大阪の専門学校に進学。卒業後はデザイン事務所に勤め、デザイナーとして活動。 その後、勤めた会社で営業成績最下位だったとーやと出会い、コンビを組んでYouTubeを始めることとなる。 現在は登録者数120万人を超える「コヤッキースタジオ」を始めるとする複数のYouTubeチャンネルを運営しながら、音楽活動、飲食店経営など幅広い事業展開を行う一経営者としての顔も持つ。