「ヤバいスローガン」による弊害?
実はビッグモーターも… 

 いろいろなご意見があるだろうが、報道対策アドバイザーとして、世間的に「ブラック企業」のそしりを受けた会社の危機管理も手伝った経験から言わせていただくと、「ヤバいスローガン」の弊害もあると思っている。

 社訓、社是、ミッション、パーパスなど呼び方はさまざまだが、企業というのは自分たちの会社が目指すべきこと、社員が心がけることをスローガンとして掲げて、研修や教育で現場に叩き込んでいく。例えば、トヨタの場合、創業以来受け継がれてきた「豊田綱領」がこれにあたる。他にも、トヨタウェイだミッションだと色んな言葉が掲げられているが、「豊田綱領の精神」が最上位にあるという。

「たかがスローガンが企業カルチャーに影響なんてしねーよ。オレなんか自社のスローガンが何かなんてまったく知らないし」と嘲笑する人も多いだろう。しかし、我々はつい最近も「ヤバいスローガン」が「ヤバい会社」を生み出したことを目の当たりにしている。

 勘のいい方はお分かりだろう、ビッグモーターだ。

 ビッグモーターもダイハツ同様に不正発覚後、ブラック企業ぶりが叩かれた。ノルマ達成できないとLINEグループ内や会議でボロカスに人格否定されて降格や左遷。目標未達だと罰金を自腹で払わされるなどの社風が次々と明らかになっていく中で、注目されたのは、「ヤバい経営計画者」だ

 ビッグモーターの整備工場前では毎朝、従業員が一堂に会して、創業者である兼重宏行氏のかなりクセのある経営思想が反映された「経営計画書」を読み上げていた。

 例えば、「会社と社長の思想は受け入れないが仕事の能力はある」社員について、「今、すぐ辞めてください」とピシャリ。さらには「店長には営業マンの生殺与奪権を与える」などの内容も唱えられていた。

 これらのスローガンを毎日叩き込まれた社員が「上の命令にはガタガタ言わずに黙って従う」としつけられることは言うまでもない。つまり、上から課せられたノルマが達成できない場合も、「できません」など言うことはあり得ないということだ。となると、残る道はインチキしかない。

 この「ヤバいスローガン」はダイハツにも当てはまる。