こうした配役に際したとき、一次感情として「原作と違う」と感じるのはウェルカムだが、「原作と違うから原作をけがされた」と感じるより、「原作と違って面白い」と感じられた方が、世の中のハッピーの総量を増やすことができるはずである。

 感想は自由なので「原作がけがされた」と感じるのもウェルカムだが、感想が尖って言葉がよくない程度に達し役者を傷つけるのは好ましくないので、恨むならせめてキャスティング担当者か実写化を決定した大人の事情を抱える制作サイドにするのがいいかもしれない。

役者も批判は受け入れるべき
賞賛も批判も大切なひとつの意見

 かといって、役者が常にいかなる批判・批評からも守られるべき、というわけではない。実写化作品なら、原作へのリスペクトが感じられなかったり、役者としての仕事がまっとうされていないような演技が披露されたりした場合、それは批判を受けて然るべきである。

 実写化作品に出演する役者は、原作の完成度を知っているからこそ、自身がその作品にメスを入れていく象徴となることに多大なプレッシャーを感じている。また、一部のファンにはどうしたって「作品を冒涜した」と見られるであろうことも承知している。

 役者には「役を引き受けた責任」があるので称賛と批判両方を受けなくてはならない、という考え方は真である。賞賛も批判も同様に大切なひとつの意見である。

しかし、「人気作品の実写化」はいかにも役者に不利な状況からスタートしているので、見る側はそのあたりの事情にある程度忖度してあげた方が優しく、またそうすることで鑑賞する際も自身が心安らかに作品を楽しむことができるはずである。

 ともあれ、実写版『幽☆遊☆白書』はお金のかかったエンターテイメントであった。「ドラマでしょ」などと侮っていると、映画ばりのクオリティでアクションシーンが繰り広げられ、さすがNetflixだと感心した。賛否はあるようだが筆者はおおむね楽しく見た。興味のある方に視聴を勧めたい。