今日も陰謀論が跋扈
身近にもいる「インターネット探偵」
冒頭で触れたように、身近な人が迷惑系YouTuberのフォロワーになってしまうケースもあるし、さらに「インターネット探偵」や、デマの拡散者になってしまうこともある。例えば次のようなケースだ。
「学生時代の同級生が、あるタレントさんのことを日本人ではないとする投稿を拡散していて衝撃だった。それを否定するニュースを引用して、さらに『マスコミはほとんど反日』と陰謀論を唱えていた。刺激しないように気をつけながら理由を聞いたところ趣味でつながったフォロワーの投稿に影響されたらしい。ネット上に散らばる情報を自分なりに精査していると言っていたが……」(40代男性)
「最近は課金しないと読めない有料記事が多いですが、SNSでつながっている知人の経営者にも人気週刊誌に有料課金している人がいる。それはいいのだが、有料課金で得た情報を要約するだけではなく、その人自身の思想と無理やり結びつけるような投稿をしているのが鼻につく。課金で得た情報を自分で発見したと勘違いしているのはないかと思うし、要約が偏っているのではないかと疑っている」(30代男性)
「以前、自分でもSNS依存だと言っている友人女性に、ネットでつながった『仲間』とのDMでのやり取りを見せてもらったことがある。仲間と一緒にネット上で情報を収集し、その集合知によって芸能界や政界も巻き込んだ組織的な陰謀を暴くことが目的だと言っていた。しかしDMでのやり取りは誤字だらけだし、エビデンスと言っているものも情報の切り取りに見えた。友人はしばらくしてリアルで行われたデモにも参加していた。自分からすると陰謀論にしか思えないが、昔からの付き合いなのでつかず離れずで見守ろうと思っている」(40代男性)
全体公開のSNS上であってもエコーチェンバーはあるのだから、非公開だったり、特定の人とのDMでのやり取りだったりしたら、なおさらだろう。陰謀論者一つのパターンとして、まず開かれたSNSでインフルエンサーからの情報を得て、次に仲間たちのDMとのやり取りの中で確信を深めつつ情報を探すようになり、公開の場のSNSに戻って能動的な発信者となる、というものがありそうだ。
インターネット上では今日も陰謀論が跋扈し、無益な対立項が次々に生まれている。来年はもう少し世の中全体が、そしてネット上も、平和になるように願ってやまない。