インターネット探偵のガセネタを
大手媒体も鵜呑みに
今年は大手出版社が運営する媒体でも、まさかの誤報があった。7月に札幌・すすきののホテルで発生した殺人事件で、容疑者の女を風俗店勤務と報道した大手出版社運営のウェブ記事があったが、この記事はその後削除された。
X(旧ツイッター)などに残っている記録によれば、Xでデマ投稿をした人物にサイト編集部がDMで接触したが、デマ発信者は欺いて「情報提供」を行い、編集部がこの情報を裏どりせずにそのまま記事にしたということのようだ。
このデマ投稿者はその後、記者とのDMを公開し、自らデマを認めている。以前から注目を集める事件が報道されると、X上では犯人は被害者の同級生や関係者であることを仄めかすアカウントにメディアからの依頼が殺到し、さらにそれを揶揄うユーザーたちの投稿が一種の「お約束」のようになっていた。
このような事情からこのデマ発信者も、わざと関係者であるかのような投稿をして「釣り」を行ったのかもしれない。実際、この投稿者には複数のメディアが取材依頼を行っていた。
デマ発信者の投稿はもちろんとんでもないが、それにやすやすと釣られてしまうメディアもメディアである。
2016年、熊本地震の直後に「動物園からライオンが逃げた」と写真付きでデマ投稿を行った20歳の男がのちに逮捕される事件があった。
このようなデマはもちろん良くないが、本人にデマの自覚があり、また「これはデマだ」と判断しやすいデマ投稿はまだマシなのかもしれない。前述したスマイリーキクチ氏はたびたびそのデマを否定したのにもかかわらず、ネット上ではもっともらしく書かれた虚偽の情報を信じ込んで中傷、拡散を続ける人がいた。