短時間で成果を出している人がいる一方、頑張っているのに成果が出ない人もいる。この違いは何だろう? 経営の最前線で20年以上、成果上げられる人と上げられない人の差を研究してきた人物がいる。東洋経済オンライン「市場が評価した経営者ランキング2019」第1位、フォーブス アジア「アジアの優良中小企業ベスト200」4度受賞の木下勝寿社長だ。注目の最新刊『チームX(エックス)』は「世界的にみても極上レベルのビジネス書」(神田昌典氏)と評され、デビュー作『売上最小化、利益最大化の法則』は「20年に一冊の本」(人気会計士)と絶賛された。そして今、「やる気に頼らず楽しく続けられる」と話題となっているのがベストセラー『時間最短化、成果最大化の法則──1日1話インストールする“できる人”の思考アルゴリズム』だ。本稿では【がっちりマンデー!!】SNSで「ニトリ」似鳥会長と「食べチョク」秋元代表から「2022年に読んだオススメ本3選」に選抜された本書から一部を抜粋しながら、「最短時間で最大の成果を出す方法」を紹介する。

「タワ-マンションの挨拶の法則」を知れば自動的に味方が増える

普通の人とお金持ち。
偉そうなのはどっち?

 これは、私がある高層賃貸マンションに住んでいたときの話である。

 30階建てのタワーマンション(以下、タワマン)だったが、入居者に面白い法則があることに気づいた。

 タワマンというと、家賃がべらぼうに高いイメージがあるが、すべての家賃が高いわけではなく、高層階に行くほど高く、低層階ほど安くなる。

 収入のどれくらいを家賃にかけるかは個人差があるが、入居者はおおまかに「上に住んでいる人ほどお金持ち」「下に住んでいる人はそうでもない」と考えられる。

 私が観察したところでは、そのマンションにはそれぞれこんな人たちが住んでいるようだった。

30~28階=会社やお店のオーナーさん家庭
28階から突然、家賃が高くなり、27階と28階は同じ広さなのに10万円も違うマンションだった。28階以上の人は朝から出勤している様子はなく、いつ会っても質のいい私服を着ている(スーツ姿を見たことがない)。

27~14階=比較的高給取りのサラリーマン家庭
みんないいスーツを着て、いい車に乗っている。仕事ができそうなオーラが漂っている。

13~2階(1階はロビー)=普通のサラリーマン家庭
一般的なサラリーマン家庭が住んでいる。ぜいたくをしている雰囲気はない。

 タワマンでは、お金持ちと普通の人が同じ屋根の下で生活している。

 そこで人間観察すると、「お金持ちの特徴」や「普通の人の特徴」が見えてくる。

 エレベーターやロビーなどで入居者に会うと、「こんにちは」「おはようございます」と挨拶をする。

 こちらから挨拶する前に、大きな声で挨拶してくれたり、こちらから挨拶すると、満面の笑顔で挨拶を返してくれる人がいる一方、無視されたり、偉そうな態度で黙ったままの人もいた。

 さて、お金持ちと普通の人で態度が偉そうなのはどちらか。

 礼儀正しいのはどちらか。

 このマンションでの観察結果では、お金持ちほど自分から率先して挨拶する。

 世間のイメージだと、お金持ちの人は偉そうな気がしていたが、実際はまったく逆で、お金持ちの人ほど礼儀正しい

普段からどんな生活だと
お金持ちになるか?

 世間のイメージだと、お金持ちの人は偉そうな気がしていたが、実際はまったく逆で、お金持ちの人ほど礼儀正しいことを発見した。

 最初は「お金持ちだから礼儀正しいのかな」と思っていたがそうではなく、「礼儀正しいからお金持ちになったのだな」と感じるようになった。

 お金持ちの人の挨拶はそれだけにとどまらず、さわやかに元気よく「おはようございます!」と気持ちがいい。

 そんな挨拶をされると、こちらまで気分がよくなるし、好感を持たざるをえない。

 つまり普段から「味方をつくりやすい生活」をしているのだ。

 まわりに好感を持たれていると、仕事もうまくいきやすく、結果的にお金持ちになりやすい。

 一方、挨拶をしても返事がない人は、まわりから好感を持たれないので味方もできず、仕事もうまくいかない。結果的にお金持ちになりにくいのだ。

お金持ちの子どもたちの言動

 面白いことに、この傾向は子どもにも影響し、高層階の子どもたちは自分から「こんにちは!」と挨拶してくる。

 「この子もきっと、将来お金持ちになるのだろう」と思いながら見ていた。

 自力でお金持ちになるには、好感度が高くなければならない。

 好感度が高くてもお金持ちでない人はいるが、長年お金持ちの人で好感度が高くない人は少ない

 芸能人でもスタッフ受けがよくないと、今どれだけ人気者でもダメになっていく。

 大切なのは、大事な場面だけで礼儀正しいのではなく、普段から礼儀正しいことだ。

 そうすれば、普通に生活しているだけでどんどんまわりに味方が増えてくるだろう。

 これは「“たまたま”でなく“いつも”の法則」(▼本書P79)で紹介したA君の例でも証明されている。

(本稿は『時間最短化、成果最大化の法則』の一部を抜粋・編集したものです)