全国で一番、冬の平均室温が低い県は?

「日本は寒冷地帯も多いのだから、室温が低いのは仕方がない」と考えている人は多いのではないだろうか。しかし、スマートウェルネス住宅等推進調査で分かったのは、寒い地域の室温が低く、温かい地域の室温が高いとは限らないことだ。

 同調査では、参加者の居住地別に在宅中の居間の平均室温を比較している。その結果、最も居間の平均室温が高かったのは北海道の19.8℃、その次が雪国の新潟県(18.4℃)、一番低かったのは、比較的温暖な気候で知られる香川県で13.1℃だった。大分県(14.9℃)、鳥取県(15.6℃)、高知県(15.8℃)など、温暖そうに思える地域ほど居間の室温が低い傾向がみられた。

ヒートショックを起こさない室温は?香川、大分、鳥取……温暖な地域ほど要注意国⼟交通省スマートウェルネス住宅等推進事業調査「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査第6回報告会」資料から拡大画像表示


「温暖そうに思える四国や九州を含め、日本には家の寒冷対策が必要のない地域はありません。光熱費は上がっていますが命には代えられませんから、ヒートショックを防ぐためにも居間、寝室、洗面所などの室温は18℃以上に保ち、スリッパを履いて冬に素足で歩いたりしないようにしましょう」

 さらに、スマートウェルネス住宅等推進事業調査では、家庭血圧(自宅で測る血圧)と室温の関係もみている。その結果分かったのは、30歳でも室温が10℃低いと女性で平均5.3㎜Hg、男性なら3.8㎜Hg最高血圧が上がることだ。

 高齢者は気温の変化による影響が大きく、室温が20℃から10℃へ下がると、80歳の女性では11.6㎜Hg、男性では10.2㎜Hgも上昇した。最高血圧が最も低くなった室温は30歳男性が20℃、30歳女性は22℃、80歳男女では25℃だったというから、部屋を暖かくするだけで高血圧も改善する可能性が高い。

ヒートショックを起こさない室温は?香川、大分、鳥取……温暖な地域ほど要注意国⼟交通省スマートウェルネス住宅等推進事業調査「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査第6回報告会」資料から拡大画像表示

「高血圧は、塩分の多い食事、運動不足などの影響を受ける生活習慣病といわれますが、急激な温度変化などの影響で悪化する『生活環境病』でもあります。血圧の変動が激しいとヒートショックも起こりやすくなるので、居間や寝室を18℃以上に保つだけではなく、トイレや洗面所などにもヒーターを置き、家全体の温度差が10℃未満になるようにしましょう。できたら、床暖房、二重サッシを入れたり、断熱改修をしたりすると効果的です」

 断熱改修は、建物の断熱性を向上させて冬の寒さと夏の暑さの影響を軽減する改修方法のことだ。冷暖房の使用量を減らし、省エネにもつながるとみられている。スマートウェルネス住宅等推進事業調査では、断熱改修後に朝の最高血圧が平均で3.1㎜Hg、最低血圧が2.1㎜Hg低下したと報告している。