新NISA制度が始まり資産運用への関心が高まるなか、「金融についてイチから学ぶ機会がほしい」「お金の教養を身につけたい」という声が高まっている。金利、インフレ、ローン、株、為替――ニュースをつければ毎日耳にする言葉だが、知っているつもりで、説明できない人も多いのではないだろうか。そんな金融と経済のしくみを60分で学べる『アメリカの子どもが読んでいるお金のしくみ』が発売される。アメリカで子どもから大人まで絶賛の声が絶えない本書から、特別に一部を抜粋して紹介する。
インフレがおこると、貯金の価値は下がる
インフレがおこると、持っているお金で買えるものは減る。
たとえば、映画のチケットの値段が10%上がると、1年前に10ドルだったチケットは11ドルになる。だから、同じ商品やサービスを買うには、もっと多くのお金が必要になってしまう。家族が5人だとしたら、今年は映画を見に行くのに5ドル多く払わなければならない。
インフレを考えれば、貯金箱にすべてのお金を入れておくのはかしこいとは言えない。お金が増えないところにお金を入れておくと、将来使おうとするとき、持っているお金の価値が下がっているかもしれない。
定年退職をむかえたお年寄りのように、年金などの毎月決まった収入で生活している人びとにとってもインフレはつらいことだ。なぜなら、そういう人たちは、たいてい働いていたときよりも収入が少ないので、インフレが進んだときにはものを買う力も弱くなってしまう。
お金の価値は毎年少しずつ下がっている
今持っている20ドルでは、1995年には買えた食料品の一部しか買えない。
インフレ率は毎年変わり、毎年1、2%のインフレは普通のことだ。
けれど1970年代と1980年代には、インフレ率が12%になったことがあった。
商品の値段が毎年12%も上がると、商品とサービスの値段は6年間で2倍になる。もし、値段が毎年それだけ上がっていくと、持っているお金が6年間で半分の価値になってしまうということだ。
(本稿は『アメリカの子どもが読んでいるお金のしくみ』から抜粋・編集したものです。)