立ち上がっておこなう「経絡呼吸法」で血流改善

――「うつぶせ寝の呼吸」の他にも、座ったまま、立ったままおこなえる呼吸法はありますか?

裕:一番いいのはやはり「うつぶせ寝の呼吸」が酸素を取り込みやすいのですが、避難所生活のみなさんは、座りすぎて体が硬くなってしまっていると思いますので、立ったままおこなう「経絡呼吸法」(けいらくこきゅうほう)も紹介しましょう。これは「うつぶせ寝の呼吸法」と同じくらいの効果があります。

――その前に「経絡」とは何か、教えてくださいますか?

裕:「経絡」についての説明はちょっとむずかしいので、ワーク紹介まで読み飛ばしていただいてもOKですが、東洋医学の「経絡」理論がわかるとワークの意味を理解しやすいので、少し説明しましょう。

 人はストレスを抱えていたり、じっとしていると、気の流れが滞り、精神的にも肉体的にも重く、冷たく、だるくなり、それがひどくなると痛みになっていきます。ちょうど川の流れが滞るところに水たまりができて、ボウフラがわくように。だから川である「経絡」を呼吸法で流し、ボウフラを吹き飛ばすようなイメージだと考えてみてください。

 東洋医学は大自然のエネルギーによって、「人間も含めた全生命体は生かされている」と考えます。そして人体には、「陰陽」のエネルギーがめぐっており、その通路が「経絡」であるとしています。

「太陽」から「陽」のエネルギーを手の指先から受けて頭に上り、それから足の指先に流れ、「地球(大地や水)」からの「陰」のエネルギーは足の裏から胸に上り、手のひらへ降りてくる。

「経絡呼吸法」は、この流れを意識しておこないます。

 息を吸う時は、「大地」のエネルギーを足裏から胸に持ち上げ、吐く息で手のひらに向かって下ろし、次の息を吸う時は「太陽」のエネルギーを手の指先から受け、頭に持ち上げ、息を吐くときに胴体を通って足の指に降ろしていくイメージを持ちながら呼吸をおこないます。

 この呼吸法によって、全身のエネルギーや気の滞りがなくなり、血流が良くなります。血流だけでなく、心の中もクリーニングされ、気分がスッキリします。私たちが太陽の光を浴びたり、裸足で土の上を歩くと元気になる感じがあるのもそのためです。

 大事なことは、「陰と陽のエネルギーを呼吸法で循環させているのだ」というイメージを持ちながらおこなうことです。

 では「経絡呼吸法」のワークをはじめましょう。

血流改善、気分もスッキリ「経絡呼吸法」のワーク

 気功法に似ていますが、これをおこなうと頭は涼しく手足が温かくなり、体のあらゆる機能が回復し、気分がとてもよくなります

 ポイントは、お腹と背中に空気を入れる意識でおこなうこと。背中に空気が入っていないと、肺に十分な空気が入りません。100パーセント肺を使うイメージでおこないましょう。

◎「経絡呼吸法」のワーク(※画像を見ながらおこないましょう)

【手順1】少し足を広げて立ち、息を吸いながら、ゆっくり両手を下から胸まで持ち上げる。
※ポイント:足の裏側から「陰のエネルギー(大地や水)」を胸まで吸い上げるようなイメージです。

震災を経験した整体プロが伝えたい「不眠・冷え・血流改善・不安」解消に役立つ「たった一つの知恵」【前編】


【手順2】息を吐きながら、ゆっくり両手を横に広げます。
※ポイント:エネルギーを胸から両手の指先に向けて流すイメージです。

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【手順3】息を吸いながら、ゆっくり両手を上に上げる。
※ポイント:手先から「陽のエネルギー(太陽の暖かさ)」を上から受け取るイメージです。

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【手順4】息を吐きながら、ゆっくり両手を下に下げる(手のひらは下向き)。
※ポイント:頭頂から胸を通り、足先までエネルギーを下げていくイメージです。

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【手順5】ご自身のペースで、数回おこないましょう。

 次回【後編】では、お二人の被災経験で得た「不眠・冷え解消法」「ストレスの対処法」「心の整え方」をお伝えしていきます。

『すぐできる自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています(★35分の動画も収録)。