毎年話題になる北九州市の成人式だが、少し雰囲気が変わってきたようだ。その背景には、成人式にド派手衣装を提供していた貸衣装屋がニューヨークに招かれ、「アート」として承認を受ける形になったことがある。賛否両論はあるが、「荒れる成人式」に変化が訪れているようにも見える。(フリーライター 武藤弘樹)
毎年全国を呆れさせる成人式
「荒れる」イメージしかないのか?
成人式は本来新成人の門出を祝う行事であり、テレビや新聞が「この自治体ではこのようにしてめでたく成人式が執り行われました」と伝えるのが通例であった。
同時に、いつの頃からか、成人式の荒れっぷりが報じるられるのも毎年の風物詩になってきていた。新成人の先輩にあたる“大人”たちはそれを目にしてため息をつかされるのが常となり、やがてその感覚も鈍麻しそうな兆しが見え始めている。それくらい、荒れた成人式のニュースが当たり前になってきた。
そのようにして、今や「若い世代のモラルの低下を端的に伝える曇天の日」といった側面を強めてきている成人式に、新たな流れが生まれてきている。新しい価値観を切り拓きつつある北九州市の成人式、その様子とこれまでの経緯、世間の反応などを併せて紹介したい。
蛇足だが、成人式を通じて伝えられる「若者のモラルの低下」は、必ずしも実情とイコールではない点には留意したい。一部の悪目立ちが全体の印象を左右する影響力を持っている点は要注意であり、「モラルが実際にどれくらい低下しているか」を判断するには、そうした主観を差し引きすれば、より正確な実態に近づけるはずである。