見た目に反して大人しくなった?
“ド派手”が容認された北九州市の成人式

「荒れた成人式」と聞くと、まあとにかく新成人が暴れているような印象である。式典を破壊するほど騒ぎ、時には物理的な破壊に及ぶこともある。逮捕につながった事案は枚挙に暇がないが、2001年の高松市で祝辞を述べる市長に5人の新成人がクラッカーを浴びせてそのカスを投げつけたケースあたりから、「成人式は荒れる」という認識が定着していったように思う。

 成人式の荒れ方、その実態は一般人にとってどの地方も大差なく一様に「荒れるのだな」という印象で受け止められるのだが、それでもいくつかの地方は特徴ある荒れ方を示していて、北九州市のそれは「とにかく派手」であった。

 派手で荒れる結婚式といえば、北九州と双璧を成すのが沖縄だったが、こちらは2016年からネガティブなイメージを変えたいと奮起した新成人らによるゴミ拾いが行われるなどし、その甲斐あってか2018年は新成人の危険・暴走行為による逮捕・保護の件数がゼロになったそうである。以降、沖縄の成人式は落ち着きを取り戻しつつあり、メディアの注目度は下がっていった。

 さて、「派手で荒れる」と定評のあった北九州市で行われた成人式では、その式典会場近くで今年新成人が出場するファッションショーが民間のイベントとして催され、レッドカーペットをあしらったランウェイを、派手な袴や振袖を着た新成人の男女がのしのしと、あるいはしずしず歩き、一生に一度の晴れ姿をお披露目した。

 Xでバズっているその様子を映した動画では、スタッフからスカウトされたらしい19人の新成人がランウェイを歩くのだが、極彩色の衣装の派手さに反して新成人は皆静かに粛々としており、式典が厳かに執り行われたであろう雰囲気すら漂ってくるのであった。