豆腐メーカーが生み出した
卵を使わないプリン
■アサヒコ/豆腐のおやつ プリン
「プリン」といえば、卵を使った代表的なおやつのひとつだが、豆腐メーカーのアサヒコが製造・販売をしている「豆腐のおやつ プリン」には、卵と牛乳が使われていない。豆乳が主原料なので、卵高騰の影響は受けにくく、3月に卵が高騰したあたりから、前年に比べて約150%売り上げがアップしたという。
「卵と牛乳で作る一般的なプリンは、動物性タンパク質に熱を加えることで液体を凝固させます。一方、当社の『豆腐のおやつ プリン』は、にがりで豆乳を固める豆腐と同じ方法で作られています。ただ、普通の豆腐は、大きなタンパク質の粒をにがりで固めるのですが、このプリンのタンパク質はとても小さいのが特徴です。タンパク質の粒が小さいほど、舌触りがなめらかになり、口の中でとろける食感が楽しめます」(アサヒコ代表取締役・池田未央氏)
後味や香りから“豆腐”の味がほのかに感じられるものの「事前情報がなければわからないはず」と池田氏。プリン開発時には、代表取締役の池田氏自ら試食会に参加して、食感や味の調整を行ったという。
「開発のきっかけは、アレルギーを抱えている人の悩みを解消することでした。発売後は、卵や牛乳アレルギーのお子さんを持つお母さんや、ダイエット中の若い女性にもご購入いただいています。卵・牛乳が不使用なだけではなく、カロリーが控えめな点にもメリットを感じていただいているようです」
アサヒコの「豆腐のおやつ プリン」は、同社のTOFFU PROTEINシリーズのひとつ。プリンのほかにも、大豆タンパク質を強化した人気商品「豆腐バー」や「豆腐のお肉」「大豆のお肉」など、大豆由来の食品が多くラインアップされている。
「現在の卵の高騰は、鳥インフルエンザの流行や飼料の高騰などが原因といわれています。確かにその通りかもしれませんが、元々、ほかの先進国に比べて“日本の卵は安すぎる”と指摘されていました。また、鶏の飼育に関わる環境への負担も問題になっていたので、今回の値上がりは卵の生産工程や価格を見直すきっかけになるかもしれません。その点、大豆は、多少天候に左右されますが、価格も安く持続可能な食材。今後は大豆をはじめとする植物由来の食品を適度に取り入れていくのが、ベストなのかもしれませんね」
キユーピーが公開した「たまご白書 2023」によると、日本人1人当たりの年間鶏卵消費量は339個。この数字はメキシコに次いで2番目に多いという。これからも卵をおいしく食べ続けるためにも、別の選択をする日があってもいいかもしれない。
最初の中見出し:豆乳ベースの2種類を展開するキューピー→プラントベースブランドを展開するキユーピー
(2024年2月5日10:44 ダイヤモンド編集部)