4月からの新生活でひとり暮らしを始めるという人も多いだろう。昨年の2月に発売し、“令和の自炊バイブル”として版を重ねる単行本「1週間1500円で毎日おいしい! てんきち母ちゃんの はじめての自炊練習帖」の著者で料理研究家の井上かなえさんに、本書の読みどころや自炊を続けるコツを3回にわたって聞いた。(構成・聞き手 ダイヤモンド社 井上敬子)
自分の家を「お気に入りの空間」にする
――前回、前々回で、本書が、ひとり暮らしを始める娘さんのために作られたものであり、実際に娘さんは本を活用して自炊ライフを楽しんでおられるとお聞きしました。自炊は、始める以上に「続ける」のも難しいですが、そのコツは何だと思われますか?
食材を買いすぎて腐らせたり、洗ってないお皿が積みあがってしまったり、生ゴミがたまってたり…。そうなってしまうと、料理しようという気もおきないですよね。それを防ぐことが自炊を続けるために結構大事かもしれませんね。
――それで本書では、食材の上手な使い回し方や、生ゴミ処理の方法、野菜のヘタを使った水栽培の方法まで書かれているのですね。
娘を見ていると、「自炊」は自分の家を「お気に入りの空間」にすることの延長線上にある気がするんです。
彼女はインテリアにもこだわって、自分のうちを自分が大好きな空間にしているんですが、だからこそ早く家に帰りたいし、その空間でおいしいものを作ってお気に入りのお皿に盛り付けて食べたいんですよね。
もし、部屋が汚なかったり、冷蔵庫の中に賞味期限切れのものが入ってたりすると、それだけで、部屋に帰るのも料理するのも嫌になっちゃいます。
――すごいですね。もともとマメな性格だったんですか?
いえいえ、実家にいる時は、掃除も全然しなかったんですよ。「自分だけのお城」だと違うんでしょうね(笑)。
住んでいるマンションも、ごみを毎日出せるので生ごみがたまることもない。そういうちょっとしたストレスがない環境にすることも大事ですね。
いずれにしても、自炊を続けるためには「楽しむこと」は大事かな。
自炊を楽しむことは「最大の秘訣」
――自炊をしたら、写真を撮ってみたり、SNSで投稿したりするのも楽しそうですね。
そうですね。娘もインスタに投稿したりしてるようです。
本書の料理写真は全部、俯瞰で撮影しているので、盛り付け方とかも分かりやすく、中には本と自分で作った料理を並べて置いて、写真に撮ってくれる人も多いんです。読者の中には、単身赴任の旦那さんや、ひとり暮らしの息子さんが、「今日はこれを作ったよ」と写真を送ってきてくれるという方もいらっしゃいます。
離れた家族とのコミュニケーションとしても楽しんでいただけると、とても嬉しいですね。
*本記事は、「1週間1500円で毎日おいしい! てんきち母ちゃんの はじめての自炊 練習帖」の著者に、本書の読みどころと自炊のコツをお聞きしたインタビューです。