それに比べて、若手社員は小中学生の頃からスマホを日常的に使っていたのですから、とらえ方が大きく異なるのは当然と言えます。

「何でもネットで調べようとする」「暇さえあればいつでもスマホを見ている」。このように若手社員に対して否定的な見方をする傾向が強まっています。

 ただし、スマホ文化と若手社員を安易に結びつけて否定することはやめるべきです。

 上司の世代は、若手のネットやスマホ文化を肯定的に受けとめながら、それだけでは得られない考え方を教えるのです。

上司が若手に伝えるべき
ネットとの付き合い方

 まず1つ目は「自分の考え」を持つことの必要性です。

 ネット上の情報は、あくまでも他人がまとめたものにすぎません。それらを受動的に受けとるだけではなく、若手が「自分で考える習慣」を身につけるように指導します。

 たとえば、若手にミスやトラブルが発生したときに、その原因や改善策について問いかけて思考を促します。その際、最初から正解が出せるかどうかにこだわってはいけません。

 自分の考えを持って主張することが大事です。もしその考えでうまくいかなければ再度考え直し、「これが試行錯誤することだよ」と若手に教えるようにします。

 2つ目は「自分と異なる考え」を持つ人との議論の大切さです。

 ネット上では、1つの話題に対して賛成、反対とさまざまな意見があるとき、「賛否両論がある」というひと言で片づけがちです。しかし、そこで終わりにせずに、「双方の立場の根拠はどこにあるのか?」「折衷案や妥協点はないのか?」「どちらかを優先すべきか?」といった点まで考え抜くことは、組織の中で仕事をするうえでも大事です。

 たとえば、若手が上司や先輩と意見が食い違うことがあるかもしれません。その際、上司や先輩は「それは違うな」「そうじゃないな」と一蹴せずに、食い違うことを歓迎してお互いの考えについて議論するようにします。

 結果、若手の考えのほうがうまくいくかもしれませんし、やっぱり上司や先輩が正しいということになるかもしれません。この「試行錯誤」するプロセス自体が、大切な経験となります。