メッシ&インテル・マイアミは香港政府に非協力的だった?

 今回のイベントはチームの香港到着直後からハプニングが起きていた。到着後、飛行機を降りてくるチームメンバーたちを待ち構えていたメディアが全員の集合写真を撮り終え、次に主催者や政府担当者らとの写真を撮ろうとしたところ、選手たちはさっさとその場を離れて送迎バスに乗り込んでしまった。進行役が慌てて「選手のみなさん、戻ってください。みなさんで一緒に写真を撮ります」と声をかけたものの、結局クラブ代表のホセ・マス氏だけが戻ってきて写真に収まった。

 その時は、前訪問地のサウジアラビアでの試合後だったことから、「疲れていたのかもしれないね」と皆が納得してみせたのだが……。

 しかし、試合欠場騒ぎ後に明らかになったのは、実は今回の香港訪問には、試合のほかにさまざまな商業イベントが仕組まれていたことだった。中国国内のSNSに流れた情報によると、試合前夜に15万香港ドル(約280万円)払えば、選手らと直接会ってツーショット写真を撮ったり、サインをもらったりできるという「VIPイベント」も企画されていたという(ただし、実現したかどうかの後続報道はない)。

 また、香港政府内でも、700万香港ドル(約1億3200万円)を支払って選手たちに夜景の美しいビクトリア・ハーバーや新設のスポーツパークなどを訪れてもらい、香港観光を宣伝してもらうというアイデアが浮上したものの、インテル・マイアミ側から断られたという報道もあった。

 さらに、試合中にメッシ欠場が色濃いことに気がついた政府はすぐに、チームを代表してメッシが賞品を受け取るよう求めたり、さらには李家超・行政長官とツーショットを撮影することでコトを収めようと提案したりしたものの、やはりこちらも実現しなかった。

 こうやって見ると、香港におけるメッシ、そしてインテル・マイアミ側の態度は非常に非協力で、たしかに観客ばかりだけではなく、香港政府を落胆させるには十分だったようだ。

 その一方で、メッシやスアレス、アラバ選手らが滞在したホテル関係者の手配で、5歳の脳腫瘍患者と18歳の悪性リンパ腫で闘病中のファンと直接面会し、彼らを励ましていたことも明らかになっている。

香港にやってきたメッシやスアレス、アラバ選手は、難病の少年たちと面会していた香港にやってきたメッシやスアレス、アラバ選手は、脳腫瘍などで闘病中の少年たちと面会していた(Facebookより)。  拡大画像表示

 メッシは、球場に並ぶスポンサー企業関係者や政府高官との握手の場でも、一人フラッと隊列を離れ、高官たちの後を通って舞台へと歩いていく姿を動画に撮られている。あるメディアはそれに「行政長官と握手したくなかったのでは?」というコメントを付けており、そこから次第に、一部から「もしかしたらメッシの行動は、政治的な意図を持ったものではないのか?」という声も流れ始めた。

 もちろん、当人はそんなことをおくびにも出さず、次の訪問地である日本で初めて会見し、「香港では出場できなくて残念だった」と述べ、ケガではなく体調不良が原因だと説明した。香港では、到着直後の記者会見に出席したのは監督とスアレス選手だけで、メッシは姿も見せなかったのに……。そして、すでに報道されている通り、神戸ヴィッセルとの試合では30分もボールを追いかけたのである。