日本MBTI協会が懸念する
「もどき」テストの一人歩き
若者に流行する一方で、日本MBTI協会は「16Personalities性格診断テストはMBTIとは全く別のもの」と注意喚起を行っている。筆者の性格類型として先に紹介したアルファベットの羅列は、いうなればMBTIに似せただけの「もどき」にすぎないらしい。
MBTIは、性格診断に基づいて、受検者や受検者が所属する組織が自分自身への理解を深めてより良く過ごせるためのヒントを提供することを目的としている。そのため、正しいMBTIは「有資格者によるFace to Faceのフィードバックの義務付け」といった厳しい倫理規定や、「18歳以下にMBTIは不適切」などの慎重な運用法が取られている(アメリカでは14歳以上に有効。また、同サイトに、日本人に関して「18歳以上に有効」との記述もある)。
非資格者によるMBTI風の性格類型診断がもたらす危険性(性格類型の断定による個人の尊厳の侵害や、可能性の芽の安易な根絶など)が憂慮されているのが、その理由のよう
である。
【参考】一般社団法人 日本MBTI協会
https://www.mbti.or.jp/
最後に、流行りを紹介する形でMBTIについて取り上げた責任から、日本MBTI協会が伝
えたい「正式なMBTI」を改めてお伝えしておく。
まず、国内における「MBTI」の大まかな認識は、「正式なMBTI」からはズレている。
一般的に「MBTI」と思われている、ネットで受けられる「16Personalities性格診断テスト」は正式なMBTIではない。
「正式なものでなくとも、それを多数が正式と思えば、それはもはや正式と考えていいのではないか」といった考え方には賛成であり、現に言葉の誤用が定着して「正しい言い回し」となることもあるのだが、MBTIに関してはそもそも商標登録されているので、定義が揺らぐことはない点に留意しておきたい。誤解を多分に含んだ形で流行っているのが協会としても苦しくも悩ましいところであろう。
MBTIおよび「もどき」が今後国内でどれくらいの浸透を見せていくかは、まだわからない。しかし血液型診断にせよMBTI風16Personalities性格診断にせよ、人が性格診断を好み、楽しむ姿勢に、時代や世代の隔たりはあっても違いはないようである。