謎のアルファベットの
羅列を使いこなすZ世代
このアルファベットを組み合わせたものが結果で、その人の性格類型である。参考まで
に筆者はINFJ-Aという羅列で、「提唱者」と呼ばれるものであった。
はっきり言って、このアルファベットの並びを見ただけでわけがわからないのだが、精
通してくるとどうもそのアルファベットの表している性格類型がどんな感じかがわかるよ
うになってくるらしい。「自分はENTJなんだけど」「それは就活有利そう」といった具
合に、完全に暗号を用いているとしか思えない会話が成立しているシーンを、ネットでは
そこかしこで見かけることができる。
先にも書いたが、韓国でとにかく流行っているので、韓国文化が好きな日本の若者たち、
すなわちZ世代あたりがMBTIに詳しい。『今日、好きになりました。』という高校生たち
が出演する恋愛リアリティ番組では、出演者のプロフィールにMBTIの欄が設けられていて、
MBTIが浸透している様が見て取れる。
さて、筆者の性格類型であるINFJ-Aという診断は、当たっているように感じた。当該テ
ストを、時間をおいてもう一度、今度は設問に答える際の気分をだいぶ変えて極端にして
試してみたのだが、やはり同じくINFJ-Aと出たことは興味深かった。
ところで、血液型診断が下火になる過程で「バーナム効果(あるいはフォアラー効果)」という、人にある心理的傾向が知られていった。
これは、たとえば占いなどで「あなたは、皆の前で明るく振る舞うことができる社交性の高さがありますが、実は1人の時間をとても愛しています」といった、誰にでも当てはまりそうな抽象的な表現が、自分に向けられて発せられると、自分のことをぴったり言い表しているように感じてしまいがちな傾向のことである。
現在国内でMBTI性格診断として知られている「16Personalities」のテストとその結果は、かつての血液型診断と同様、ごく気軽に万人が楽しめるものである。別の言い方をすると、簡易型診断であるだけに、バーナム効果が入り込むくらいの余地は余裕であると思われる。