局が異なるが、読売テレビの大橋善光社長は1月に松本人志氏の件について、「告発女性と松本氏が対決するのであれば放送したい」という発言をし、非難を浴びた。これもテレビ局関係者と世間のズレを感じる一件だった。
一方、テレビ番組制作に携わる人の人権についても、納得感のある指摘だと感じた。テレビが絶対的な王者であった頃から、テレビ局は朝も夜もないスケジュールで回っていることはよく知られていたし、最近では下請けの番組制作会社の低賃金、長時間労働問題も表面化している。
安易な取材方法も散見
負のスパイラルは続くのか
先日、作家の吉本ばなな氏が関西テレビの番組公式アカウントから直接「突然のご連絡、失礼いたします。(略)吉本様の投稿を番組でご紹介させていただきたく、ご連絡いたしました」と連絡を受け、断ったことがネット上で騒ぎとなり、その後同社が電話で吉本氏に謝罪したことが明らかになった。
テレビ局のスタッフがX上で事件の関係者や目撃者に接触するのは以前から見られた光景であり、その都度ネットユーザーからは様々な批判が上がっていた。今回は相手が有名人であるだけに、連絡の取りようはいくらでもあるはずであることから、さらなる非難につながった。
対象者と連絡を取る方法がネットに限られている場合もあるので、一概に批判はできないが、時間やコストの制限がある中でスタッフが安易な取材方法を選択しているように見える。長期的にテレビ局(引いてはマスコミ)への信頼を損ねているように感じるし、負のスパイラルを見る気持ちだ。
ネット上でのこのような批判を受け、今後は議事録に出る内容が大幅に減るのではないかという点が心配ではあるが、来年1月の審議会ではぜひ、旧ジャニーズ問題や松本人志氏に対する報道について、委員からの意見を聞いてみたい。