「処遇改善加算」のまやかし
収入が減ってしまう業者も

 もう一つの問題は、介護報酬が下がっても職場環境の改善や研修の充実などの要件を満たして「処遇改善加算」を取得できれば、最大で24.5 %プラスされる、と厚労省が説明している点。

「厚労省が言う『処遇改善加算』を含めればプラス改定」というのは大嘘で、事業所にとって基本報酬の減は大きく、全体としてもマイナス。本当にひどい話です」

 そう憤るのは、NPO法人グレースケア機構代表の柳本文貴さん。柳本さんの事業所では、年額にしてみると基本報酬分が222万円減収となり、処遇改善加算分が144万円増収しても、77万5000円減収となる計算だ。(表2参照)。

「訪問介護のヘルパーが1カ月待ち!」介護難民を続出させる介護報酬アップの本末転倒

「処遇改善はヘルパーの給与や手当を主に上げるもので、事業所が負っている、採用や研修・人材育成、コーディネート・調整、同行、福利厚生、(ヘルパーの時給に加算する)移動やキャンセル、待機など、これらの評価は、ばっさり切り落とされることになります。処遇改善に使える分が、年間144万円、月にして12万円、賃上げといってもタカが知れています」(柳本さん)

 NPO法人「渋谷介護サポートセンター」理事長で、ケアマネジャーの服部万里子さんは、「退院後、自宅で生活するために訪問介護サービスを受けたいと思って、ケアプランを立てようとしても、引き受けてくれるヘルパーさんがいないのです。特に、要支援1、2に該当する軽度者は(基本報酬の)単価が安いこともあり、受けてくれないというのが実態です」と語る。

 ホームヘルパーが来ないのであれば、家族が介護を担うことになる。子どもが勤労世帯であれば「介護離職」、子育て世代であれば、介護と子育ての時期が同時に来る「ダブルケア」に陥るリスクも高まる。

 訪問介護サービスの待機者は主に80代以降の高齢者と軽度の認知症の人が多いというのは、前出・門脇さんだ。

「ホームヘルパーは利用者さんの身体の状況や生活環境を見ながら、自立した生活を維持するためのサービスを提供します。例えば、利用者さんの自宅を訪問したら、ゴミ箱の中を見て『この間、お菓子ばかり食べて偏った食生活を送っていないか』といったことを瞬時にチェックしながら、冷蔵庫内にあるもので栄養価の高い食事を決められた時間内に作り、提供します。