また、体調面で気になる点があれば、ケアマネジャーや看護師などと連携して状態が悪化しないように対策を講じます。中には生活が困難になる利用者さんもいて、ホームヘルパーが介入して様々な支援につなぐことで解決するケースもあります。利用者だけでなく、家族も含めて支援している。そのような社会的役割を担う専門職のホームヘルパーは、社会の宝です。一人でも多くのヘルパーを増やすためにも、今回の報酬引き下げは撤回してもらいたい」(門脇さん)

ヘルパーの仕事はキツイが
最後の一人が旅立つまで見守りたい

 募集をかけてもホームヘルパーが集まらないのは、「仕事の魅力が伝わらないのも原因の一つ」というのは、広島市内で昨年末まで訪問介護事業所を運営していた女性(70代)だ。

「私自身、義母の介護と仕事の両立をする中で体調を崩してしまい、事業所の閉鎖を決めました。うちのスタッフ(ホームヘルパー)たちは介護保険制度が導入される前からこの仕事をしていて、専門職として誇りを持っていました。本当はもっと早く閉めるはずでしたが、『担当する利用者さんを看取るまでやりたい』とスタッフたちが熱望するので、最後の一人が旅立つまで寄り添い続けました。

 ヘルパーの仕事はきついと思われがちですが、人生の伴走者としてやりがいのある仕事。ご家族や地域からも感謝されながらこの仕事ができたので、これからもヘルパーの魅力を伝えていきたいです」(女性)

 ホームヘルパーを「魅力のある仕事」として伝えながら、地位向上のために奮闘するのは、現役ヘルパーの藤原るかさん(68)、伊藤みどりさん(71)、佐藤昌子さん(68)の3人。

 訪問介護を担う大半の非正規の登録ヘルパーは、サービスを提供した時間しか賃金が払われず、利用者宅を回る移動時間や待機時間はほぼ無給だ。利用者側のキャンセルによる休業手当も出ない。低水準の介護報酬など介護保険制度の問題が根底にあり、労働基準法違反の状態を放置し、規制する権限を行使しなかったのは違法だとして、国を相手取り1人330万円の損害賠償を求めて東京地裁に裁判を起こした。