2017年の発売以降、今でも多くの人に読まれ続けている『ありがとうの魔法』。本書は、小林正観さんの40年間に及ぶ研究のなかで、いちばん伝えたかったことをまとめた「ベスト・メッセージ集」だ。あらゆる悩みを解決する「ありがとう」の秘訣が1冊にまとめられていて、読者からの大きな反響を呼んでいる。この連載では、本書のエッセンスの一部をお伝えしていく。

ありがとうの魔法Photo: Adobe Stock

「いかに喜ばれるか」を考えれば、まわりの人々、全員がうまくいく

 商売で大切なのは、「ひとり勝ち」の発想だと思います。

「勝ち」といっても、「誰かと競って勝つ」ということではなくて、その仕事をおもしろがって、喜んで、「楽しくてしかたがないからやっている」という「私」をつくり上げることです。

 たとえば、ある人が旅館を経営していたとします。その宿がとてもはやっていたら、その宿に物品を納入する業者も潤います。

 自分の宿に人が来るようになったとき、自分のところにお金を貯め込むのではなくて、儲かったお金を「まわりの人にも還元していく」ような生き方が「ひとり勝ち」の思想です。

「景気が悪い」「不況だ」「社会全体が落ち込んでいる」と愚痴や泣き言を言う暇があったら、「いかに自分が喜ばれる存在になるか」を考えるほうがいいと思います。

「どうしたら売上が上がるか」「どうしたらお客様の数が増えるか」を考えるのはやめて、「どうしたら喜んでもらえるか」、それだけを考えるのです。

「地域全体がどうなるか」という話ではありません。大切なのは、「『私』がどれだけ喜んでもらえるか」です。ひとり勝ちしている自分ではないのに、まわりを活性化しようと思うのは、ちょっと無理な気がします。

 それぞれが自分勝手に、自分で「ひとり勝ち」をはじめたら、その地域はあっという間に活性化することでしょう。

「『私』が喜ばれるには、どうしたらいいか」を考えていくと、どんな商売でも、世の中が不景気であっても、関係ないようです。地域経済の地盤沈下も関係ありません。すべて「私」の問題です。

 ある喫茶店の経営者が、講演会のあとに私のところへ来て、このように言いました。

「小林さんの言うように、喜ばれるようにやってきたのですが、それでも売上が上がりません。どうしてでしょうか」

 私の答えは、とても簡単です。

「それは、喜ばれていないのでしょう」

「喜ばれている」と本人が勘違いしているだけであり、本当に喜ばれていたら、売上はついてくるはずなのです。

 多くの人が「世の中は不況だ」と騒ぎ、1000兆円以上のお金が日本に預貯金されたまま、動かなくなっています。どうして動かないのでしょうか?

 楽しくないからでしょう。お金を使いたくなるような楽しさがないからです。

 あるとき、「年商10億円」の会社経営者から、次のような相談を受けました。

「『この先、日本の経済は今よりも悪くなる』と予想する経済学者がいます。日本の経済は、本当に悪くなるのでしょうか? 小林さんはどう思いますか?」

 私は、こう答えました。

「世の中の不況も、この先の景気も、あなたには関係がありません。ただ、『ひとり勝ち』をすればいいだけです。日本の景気がいいか、悪いか、ということに関心を持つ必要はないと思います」

 仕事も、商売も、「私」が喜ばれるように組み立てていけば、世の中の景気がどうなろうと、「楽しい」だけだと思います。

 どうやら「世の中がどうなっても『私』が喜ばれるようになればいい」と思ったほうが、商売はうまくいくらしいのです。