さらに、「では、売上が少ないことが問題なのか、売上に対して出費が多すぎることが問題なのか、どっちだと思いますか?」といったことを、営業やマーケティング、総務、コスト管理をしている部署、工場などで調査させました。

 こうして問題点を見える化していくと、当然ながら売上も足りないし、出費も多すぎるという結論になります。

 では、「売上を増やすためにどういうアクションが必要だと思いますか?」と考えてもらいます。

 コストについては、「たとえば、この経費を減らしたらどのような副作用があると思いますか?」と検証していきます。副作用がなければ、そのコストをカットすればいいわけです。

 このように進めていくと、どんどん主観的な理由が取り除かれていきます。たとえば、この会社では創業当時から付き合っている仕入れ先がありました。その仕入れ先に問題があっても、「長い付き合いだから」という話になってくるわけです。そこで、「健全なお付き合いができていますか?」「向こうの言いなりになっていませんか?」と疑問を突きつけて考えてもらいました。

品質を変えずに生産量を
増やすにはどうすべきか

 販売の方では、大手のOEM商品の問題もありました。当時、このOEM商品は売上の40%を占めていました。その製品に対する原価計算をして、売上に対してどのくらいの費用を使っているかを調査したところ、ほぼすべての商品が逆ザヤだったのです。

 製造コストがかかりすぎていて、作れば作るほど赤字が増える構造になっていたわけです。その状況に当時の担当者は気づいていませんでした。

「OEM先が大きな企業だし、昔からの付き合いなので価格交渉はできない」「これだけ大きな会社と取引ができているのは、うちの会社の信用になっているから」

 そんな訳のわからない説明を受けました。客観的に見れば、そもそもその注文をとってくるべきなのかどうかを考え直さなければなりません。

 価格の見直しを交渉しましたが、「卸値は変えられない」ということでした。かといって、40%の売上を飛ばすわけにもいきませんし、そのへんは一定程度理解できます。