ダイハツは、大阪府池田市ダイハツ町を本社とし、本社工場・滋賀工場・京都工場に、子会社ダイハツ九州の大分・中津工場、久留米工場の国内工場がある。関西と九州・大分を中心に、大きな部品サプライヤー群を抱えるとともにダイハツ城下町を築き、地方経済に大きな影響力を持つ。全国の販売会社に加えて全国3万社超えの業販店にも影響を与える。

 また、トヨタ・スバル・マツダへの受託OEMビジネスを手掛けるなど関連企業への影響もある。海外ではインドネシア・マレーシアで強い生産・販売力を持っている。トヨタグループとして軽自動車・小型車領域で大きな位置付けにあるだけに、ダイハツ再生はグループ全体の流れにつながることになる。

 今回、トヨタグループの商用車領域では、ダイハツの軽商用車をベースにした軽BEVを計画していたCJPTからの脱退も決めて、軽EV市販化の延期となった。その意味では、ダイハツのブランド力や信用・信頼回復を早期に果たし、ダイハツの今後の方向性を定める必要がある。皮肉なことに、トヨタの今期(24年3月期)の連結純利益は過去最高となる4兆円超えの4兆5千億円を見込み、ダイハツと日野を含む23年のトヨタ連結世界販売は1123万台と4年連続首位を堅持した。トヨタの時価総額も55兆円を超えてきている。

 すでに23年5月末にトヨタは独ダイムラー傘下の三菱ふそうと日野自動車の統合を発表して、その処遇を決断した。今年末(24年末)までに日野自・三菱ふそうは統合し、日野自はトヨタの連結子会社から外れる。不正は国内商用車メーカー再編にまでつながるものとなった。

 日野自以上にボリュームが大きく、トヨタグループ全体に影響も大きいのダイハツをどうするかは、新たに送り込んだ新経営陣と豊田章男会長がどう具体的に動くか次第だが、早期の再生が求められることになろう。

(佃モビリティ総研代表・NEXT MOBILITY主筆 佃 義夫)