壁掛けVS全館空調
冷暖房はどちらを選べばいい?
中価格帯では、性能特化系の一条工務店の人気が高い。その理由は、同社が独自に開発した分厚いウレタンフォームを使用しており、気密性、断熱性に優れているからだ。それだけ電気代を抑えられる。また、太陽光パネルと蓄電池を組み合わせれば、自家発電や自家消費も可能であり、V2H(家と車をつなぐ技術)も利用できるため、同社を選ぶ人が増えている。
しかし、一条工務店を選ばない人もいる。その理由は、「間取りの自由度」だ。同社の住宅は断熱材が充実している半面、他の木造メーカーと比べて間取りの自由度が低い傾向がある。注文住宅を建てる際に、「スキップフロアにして1.5階に書斎が欲しい」といった細かな要望がある人にとっては、不満が生じる可能性がある。
消費者がよく迷うのが、冷暖房をどうするかだ。冷暖房には「床暖房系」と「エアコン系」の2つがある。床暖房は、リビング・ダイニングなどの床の下にお湯の配管や電線を配置して暖めるものだ。一般的には部分配備だが、一条工務店は床暖房にたけており、全室に完備されている。
ただし、部分的にエアコンを使用して建築費を抑えたいと考える人もいるだろう。そうした場合は、アイ工務店の「N-ees」、クレバリーホームの「ENELITE THERMO」、アイフルホームの「すごい家」、ヤマト住建の「エネージュAF」、アエラホームの「クラージュ」など、コストパフォーマンスよく高断熱性能が期待できる商品を選ぶといいだろう。
エアコン系には、各部屋の壁に機械を取り付ける「壁掛け型」と、部屋全体に冷暖房を行う「全館空調」の2つがある。どちらを選ぶかで、メーカーの選択に影響を与える。全館空調を推奨するメーカーは「全館空調は最高だ」と言うだろうし、エアコンメインのメーカーは「全館空調は無駄だし、壊れたらどうするのか?エアコンが最適だ」と主張するだろう。
どちらを選ぶかは、在宅時間の長さによって異なる。例えば、2世帯住宅で1階に祖父母が常駐し、自らも2階でテレワークをしているような場合、全館空調の方が適しているだろう。廊下や洗面所など、よく使う所を暖かく保てるからだ。
もし、家族が朝からみんな出かけて夜まで帰ってこないような環境なら、エアコンの方が適している。今なら帰宅前に遠隔でエアコンの電源を入れる機能が付いているケースもある。暑がりか、寒がりかによっても感じ方が異なるため、営業トークに左右されず、自分たちの生活スタイルをしっかり考えよう。
全館空調を採用したい場合、桧家住宅の「Z空調」が人気だ。同社は全館空調の採用率が抜群に高く、経験と実績が豊富な分、施工精度が高い。それが同社の強みだ。
他にも、ヤマト住建の「YUCACOシステム」「Airフローシステム」やアキュラホームの「匠空調」などもある。これらのメーカーは、バランス重視の中では全館空調の実績が豊富だ。それ以外のメーカーは、基本的にエアコンや部分床暖房が多い。