日経平均株価が2月22日、34年ぶりに史上最高値を更新した。バブルの絶頂期だった1989年12月29日の取引時間中に付けた3万8957円を上回った。後押ししたのは米半導体大手エヌビディアの好決算だ。この34年間で日本経済は激変した。特集『日経平均株価「最高値」の虚実』の#1では、最高値更新で浮き彫りになった世界50大企業の変遷と、日本半導体産業の栄枯盛衰に迫る。(ダイヤモンド編集部副編集長 大矢博之)
日経平均34年ぶり最高値更新
時価総額トップ10の凋落
34年ぶりにようやく歴史が動いた。
日経平均株価は2月22日、バブルの絶頂期だった1989年12月29日の取引時間中に付けた3万8957円を超え、終値は3万9098円に達した。
今年に入り、日経平均は年始の3万3000円台から右肩上がりで上昇を続けてきた。最高値更新の“最後の一押し”となったのは、米半導体大手エヌビディアの決算だ。
22日朝(日本時間)に公表されたエヌビディアの2023年11月~24年1月期決算の売上高は前年同期から3.65倍の221億300万ドルと過去最高に。純利益も同8.69倍の122億8500万ドルと、市場の予想を大きく上回った。注目が集まった今後についても、24年2~4月期の売上高予想は240億ドル前後と、絶好調が続く見通しを示した。
AI向けの半導体王者であり、半導体株上昇の象徴でもあるエヌビディアの好決算を受け、22日の東京株式市場では東京エレクトロンやアドバンテストなど半導体関連株を中心に買いが入り、最高値更新をもたらした。
かつての最高値から約34年2カ月。日本経済は激変した。その象徴が下の図だ。
これはバブルの絶頂期だった89年と、現在の世界時価総額トップ10企業の比較だ。その顔ぶれを見れば、世界における日本の立ち位置の変化が分かるだろう。当時の時価総額トップに君臨していたNTTをはじめ、上位10社のうち7社が日本企業だった。
一方現在は、トップ10に日本企業は1社もないどころか、トップ50まで広げてようやくトヨタ自動車1社がランク入りする程度だ。
そして何より、今回の株高の立役者であるエヌビディアの創業は93年。89年には存在すらしなかった企業が、今では世界4位へと急成長しているのだ。
半導体銘柄が大きく貢献した日経平均株価最高値更新。くしくもバブル期は日本の半導体産業も絶頂期であった。
次ページでは、かつての最高値時代と現在の世界時価総額トップ50企業の変化と、最高値更新を後押ししたエヌビディアが飛躍した要因や、エヌビディアを生み出せなかった日本の半導体産業凋落をひもとく。