日経平均株価「最高値」の虚実#9Photo:JIJI

日経平均株価と並ぶ日本株の代表的指標であるTOPIX(東証株価指数)は、いまだに最高値を更新していない。その原因を探っていくと、指数の算出方法における日経平均の“ゆがみ”が浮かび上がる。緊急特集『日経平均株価「最高値」の虚実』の#9では、そのゆがみの構造を解説する。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)

昨年末からの上昇率も
日経平均より低いTOPIX

 日経平均株価(以下、日経平均)とTOPIX(東証株価指数)。言うまでもなく両者は日本株を代表する株価指数である。2月22日に日経平均は史上最高値を更新したものの、TOPIXはいまだ最高値を更新していない。

 TOPIXの最高値は1989年12月18日に付けた2884.80だ。2月22日の終値は2660.71なので、最高値更新まではあと8%強の上昇が必要である。

 2023年末から2月22日までの上昇率を比較しても、日経平均の方が高い。日経平均が16.8%上昇したのに対し、TOPIXの同期間の上昇率は12.4%にとどまる。

 なぜ、二つの指数の間に格差が生じるのか。

 225銘柄しか対象としていない日経平均に対して、旧東京証券取引所1部銘柄、プライム市場銘柄を対象に2000以上の銘柄を対象とするTOPIX。構成銘柄の違いはもちろん、格差の理由の一つだが、実は算出方法に違いが大きく影響している。

 これが原因となって日経平均の“ゆがみ”を生んでおり、一部企業の株価動向に影響されやすいという指標の妥当性に疑問符を付けている。

 次ページ以降、“ゆがみ”を生む日経平均の構造をTOPIXと比較しながら解説してゆく。