こうした企業が多い地域でも、物価も賃金も上昇という好循環が生まれるかは今年が正念場になるでしょう。言い換えると、もしかしたら日経平均と身近な経済とのギャップとは、グローバル企業が拠点を置く都心や地域と、そうではない地域とのギャップなのかもしれません。

 これらを読み進めると、ある疑問を持つ人もいると思います。「バブル時代は株も賃金も上昇していたのに、当時と今では何が違うの?」という疑問です。実は、当時の日経平均、そして日本株全体を押し上げていたのは、金融、不動産、通信という、日本国内を主戦場とした巨大内需企業でした。例えば、NTT、日本興業銀行などの顔ぶれです。当時の世界の億万長者ランキングでは、電鉄・不動産開発で有名となった西武グループ元オーナーの堤義明氏など、日本の内需企業の代表が上位を独占する時代でした。このころは、日本の内需の盛り上がりで、日本の内需企業で働く人の賃金も上がりやすいという時代でした。それが、株高と賃金上昇との相関を生み、今との違いを出しているのでしょう。

 では今後の日経平均はどうなるのでしょうか。株価予想が当たるなら、私は仕事をしていないということを前提に聞いてください(笑)。

(ちなみに言い訳をすると、投資銀行時代に株のアナリスト〈=経済や株価予想などを仕事にする職種〉をしていましたが、めちゃくちゃ当たるというアナリストで勝率は6割という世界でした)

 日経平均に影響力を持つ、半導体関連などのグローバル企業は、まだまだ伸び代があると思います。ただし、あまりに株価が急上昇していることの反動や、日本の株式市場に影響を持つ欧米のプロ投資家の動向が気になります。日本の株式市場では7割が外国人投資家によって売買されています。今年は、アメリカの大統領選挙など、外国人投資家のスタンスに影響する政治イベントが多すぎます。一直線に日経平均が上がり続けるというより、こうしたイベントに左右されて、日経平均が3万~4万円以内で「乱高下」することを前提にすると良いかもしれません! 私も浮かれず、気を引き締めていきます!

AERA dot.より転載