それならば再雇用のほうがリスクがあるのではないでしょうか。

 定年延長だって、自由を謳歌する時間がなくなるだけです。

定年を過ぎたら転職して夢を叶えてもいい

 もし、60歳、あるいは65歳を過ぎてからも稼ぎたいのならば、転職をすすめます。

 50歳を過ぎたら転職先などほとんどない、との声をよく聞きますが、それは「職を選んでいるから」です。

 たとえば「これまでどおり、年収500万円以上は欲しい」となれば、難しい。

 年収500万円の仕事ならば、成り手は多いでしょう。企業としても同じ給料で同じ仕事をまかせるならば、若いほうがいいところがあります。

 しかし、これを「年収300万円以内」に下げると、景色は変わります。

 住宅ローンや子供の教育費など大きな支出がもう終わっていたり、メドが立っていたりするのであれば、現役時代のような年収は、必ずしも必要なくなります。

 すると、飲食店などのサービス業、販売職、あるいは今後、伸びることが約束されている介護職など、圧倒的な売り手市場が現れます。

 単に人手不足の業界であるだけではないことにも注目です。

 超高齢社会を迎えた日本では、飲食店にしろ小売店にしろ、消費者と近い中高年層の活躍の場が広がっています。自分と同じ感覚でサービスや商品をおすすめしてくれるし、話しやすい同世代のほうが求められる場合も増えているからです。

 介護の現場では、とくに男性の働き手が多く求められています。

 力仕事が多々あることもその理由ですが、女性介護職員が要介護者からセクハラやパワハラなどを受けるケースが増えている昨今、男性の介護職員はその心配が少ないからです。

 また、私も関わることがある映画やテレビの制作現場では、年収300万円程度ですが、常に人材を募集しています。慢性的に人が足りないからです。

 若い頃、こうした映像制作の現場に憧れた人も多いでしょう。それなりの肉体労働ではありますが、今はかつてより労働契約が厳しいため、劣悪な現場は減っています。