適度な距離感で、適切な声がけを

 部下やスタッフを持つと、これまでの仕事の延長ではなくなり、「まったく別次元の能力」が必要になります。
 リーダーがフォーカスすべきなのは、「5つのポイント」だけです。
 それが、「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」です。これだけに絞ってマネジメントをします。カリスマ性も、人間的魅力も不要です

 日々の仕事をこなしていると、人間関係や仕事上のトラブルに見舞われ、「リーダーとしてどう振る舞えばいいか」を迷うときが必ず来ます。
 そんなときこそ、この5つに立ち返るのです。「5つのポイント」だけを見て、他のことをいったん考えないようにすること。それこそが、「リーダーの仮面をかぶる」ということなのです。

 ポイントを押さえた声がけやルール設定、評価をし、メンバーが最終的にちゃんと成長する。
 優しい言葉をかけて、その場だけ「いい人だ」と思ってもらっても、その言葉は、頭に残りませんし、後から効いてもきません。

「尊敬されたい…」「『すごい』と思われたい…」。そういった「素顔」を見せないのが「仮面」の力です。

 それに、仮面はあなたを守ってもくれます。人間関係の衝突をなくす盾となり、他人からの攻撃を受け流してくれます。リーダーの仮面をかぶって仕事を進めて、人から嫌われたとしても、それはあなたの人格が否定されたわけではありません

 まずは、部下との距離感を見直しましょう。そして、これまでの言動の1つ1つを振り返るのです。

(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)

安藤広大(あんどう・こうだい)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年4月現在、約4000社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。