今年3月31日までで、32年間やった放送作家を辞めるという選択をした人気放送作家・鈴木おさむ氏。鈴木氏が「仕事を辞める」と決断したことで見えてきた「働く意味」や「自分の人生のおもしろさ」、そして「幸せの形」とは?本稿は、鈴木おさむ『仕事の辞め方』(幻冬舎)の一部を抜粋・編集したものです。
自分を「俯瞰」で見れば
色々と気づくことができる
僕はこの仕事をしてきて、自分のことを「俯瞰で見る」ことが出来る人は優秀だなと思っています。
俯瞰で見るとは、自分を客観的に見ること。俯瞰で自分を見られる人は、自分の頭上にドローンカメラが飛んでいて、そのカメラから今の自分がどんな風に見えているのかを理解する。
これはなかなか難しいことです。感情的になった時ほど、自分を俯瞰で見ることが出来ません。
例えば、部下が問題を起こして注意するとしましょう。注意している最中に、今、注意している自分はどんな風なのかを俯瞰で見ようとする。すると注意が説教にならずにスマートに終われたりします。
僕はたまに、今の自分がドラマの出演者だったらどんな役でどんな風に見えているだろうと考えます。ドラマ『半沢直樹』だったら、自分はどの役なんだろうと。
そうすることによって、「あれ、今の自分、めちゃくちゃ嫌な役じゃない?」と気づけたりします。
時折、仕事でイライラしてる人にも、これを伝えてあげます。「今、ドラマの中だったら自分がどんな役なのか、考えてみた方がいいよ」と。すると、みな、自分の頭上にカメラを飛ばして俯瞰で見ると、「あれ?今の俺、嫌われ者じゃん」と気づき、クールダウンしていきます。
日常の自分を俯瞰で見ることも大事なのですが、自分の人生を俯瞰で見ることも大事だと思っています。
5年、10年を振り返り、自分の人生を俯瞰で見てみる。自分の生き方はどうだったのか?
まるで他人の人生を振り返るように、俯瞰で見てみるのです。
3~5年単位で区切ってみて、自分の人生を俯瞰で見ると、この人の人生、生き方は「おもしろいか?」「おもしろくないか?」がわかってきます。
僕は比較的人生を振り切って生きてきました。19歳で上京し、いきなりお笑いプロに飛び込んで放送作家になりたいとお願いしたんです。