島を活性化させるため、旅行業の活動も開始
「まだビールづくりは軌道に乗ったわけではない」と語る久保田さん夫妻だが、わざわざ本島まで訪ねてくるファンは着実に増えている。そうした島外からのファンの呼び込みをいっそう活性化させるため、法人設立と同時に旅行業の登録も行った。これも宏平さんが会社員時代に旅行業務取扱管理者の資格を取得していればこそだ。
「天候にしても船の都合にしても、環境に抗えない状況でビールを仕込むからには、管理し過ぎない製法を大切にしたいと思っています。酵母を濾過せず、瓶内で二次発酵させることで、自然発生する炭酸をビールに溶け込ませる昔ながらのつくり方をしているのもそのためです。熟成が進むことによって移り変わる、自然な味わいを楽しんでいただきたいですね」(宏平さん)
最近、ブルワリーの一角で飲食事業をスタートし、島民やはるばるやって来るファンにビールを提供する場を整えた。今後、近隣にゲストハウスがオープンする予定があるそうで、遠からずクラフトビールは本島の大きなコンテンツになるかもしれない。
近距離2拠点生活というユニークな形を選んだ夫婦の挑戦が、過疎化に向かっていた小さな島にどのような影響を与えるのか、楽しみに見守りたい。
