要はやるか・やらないかの差である
上司が催促しなければやらない人がいる一方で、1回依頼したら、絶対に忘れずにやってくる人がいます。
こういう人には「じゃあ次はこれをお願いします」などと、次の依頼がきます。そうこうしているうちに、どんどん新しい仕事がきて、早いスキルアップが実現してしまいます。
そして、気がつくと、「仕事の速い新人」「仕事ができる新人」などと評価され、ますます仕事を任され、社内の仕事のできる人を紹介してもらったり、おもしろそうなプロジェクトに参加できたりと、仕事の幅も広がっていきます。
同じスタート地点にいたはずなのに、気づけば大きな差がついてしまうのです。
スタートは同じ「これをやっておいてね」の上司のひと言だったかもしれませんが、1ヵ月、3ヵ月、半年と経つにつれ、「ちゃんとやる人」「言われればやる人」「言われないとやらない人」「言われてもやらない人」との差は大きくなるばかり。
「社会人は最初の1年で決まる」と言いますが、きっかけは「やるか・やらないか」の差だけかもしれません。
だから、とにかく最初に目指すべきは、上手にやるではなく、「とにかく頼まれたことは、どんなことでも全部やる」ことです。
上司に催促されてしまったとしても、「ここまでやりました」としっかり報告できて、「いつぐらいまでにできます」と見通しも伝えて、最終的にやりきることができれば問題ありません。大事なのは、「どんなことも」やりきるということです。
ときには、「時間があるときでいいから……」と、本当にささいなお願いごとを受けることもあると思います。
フロア内にある文房具のストック量を教えてとか、××のニュースに関する新聞記事を集めてくれだとか、急ぎではない雑務の数々。
こうしたものについても、しっかりやること。もちろん優先順位をつけながら進めていく必要があると思いますが、頼まれたことはすべて把握し、ひとつずつやりきることが重要です。
もしかしたら、上司は誰に何を頼んだのか忘れていることもあるかもしれません。そういうときこそチャンスです。あなたのほうから「できました」と報告するのです。仕事が速い人はレスポンスが速い。反応の良い新入社員は、それだけで「積極的だ」「優秀だ」とプラスの評価につながるかもしれません。
さらに、「昨日おっしゃっていた◯◯の件ですが、昨年1年間のデータを調べてみましたら××でした。もうさかのぼって、2年、3年分調べてみたほうがよいでしょうか」などと、先手を打ったら、「さらに上をいく提案のできる人」とか「自分から積極的に仕事に取り組んでいる人」と思われることも。
こうした「小さな功績」の積み重ねが、1年後のあなたの経験値となり、スキルとなり、周囲からの評価になっていくのです。
次回は、3つの原則2 50点で構わないから早く出せ について、詳しく説明したいと思います。(2018年3月5日更新予定)
ライフネット生命保険株式会社 代表取締役社長
1976年埼玉県生まれ、幼少期を英国で過ごす。1998年、東京大学法学部を卒業後、ボストン コンサルティング グループ等を経て、ハーバード大学経営大学院に留学。同校を日本人では4人目となる上位5%の成績で修了(ベイカー・スカラー)。2006年、副社長としてライフネット生命保険を立ち上げる。2013年6月より現職。
世界経済フォーラム(ダボス会議)「ヤング・グローバル・リーダーズ2010」選出。
著書は『入社1年目の教科書』『入社1年目の教科書 ワークブック』(ダイヤモンド社)、『ハーバードMBA留学記―資本主義の士官学校にて』(日経BP社)、『生命保険のカラクリ』『がん保険のカラクリ』(文春新書)、『ネットで生保を売ろう!』(文藝春秋)など多数。