また、みんなでワイワイやる国民的パーティーゲーム『桃太郎電鉄』、通称『桃鉄』シリーズでは、去年から学校向けに『桃鉄 教育版』というものを配信し始めた。導入は無料、桃鉄名物の貧乏神は出てこないなどの特徴がいくつかあり、授業用タブレットでプレイできるとのことである。

 そういえば筆者も、全国の地名や特産品は桃鉄のプレイを通して自然と覚えたことを思い出した。桃鉄は学習効果の高いゲームであり、これを公に導入している学校は約7,000校だという。楽しくしっかり学べるなら、それに越したことはない。

「ゆとり教育」から「生きる力」へ
やさしさの軸はどう変わったか

 しかし、ラーケーションも桃鉄授業も、筆者の世代になかったものだからか、ずいぶんと「やさしく」感じられる。教育が「やさしい」方向に行こうとしているのを見ると、真っ先に思い起こされるのはゆとり教育である。「脱詰め込み教育」を目指して導入されたゆとり教育は、学力低下論争を引き起こしたと言われ、ネットでは「ゆとり」という言葉が悪口や批判として使われるようになった。やがて、今度は「脱ゆとり教育」が目指されることとなる。

 ゆとり教育は授業時間を減らす方向性を含んでいたが、脱ゆとり教育では段階的に授業時間が増やされた。しかし、ゆとり教育以前の詰め込み教育への回帰を目指すのではなく、詰め込みでもゆとりでもない境地として、文科省は「生きる力をはぐくむ」というキャッチフレーズとともに新学習指導要領をスタートさせた。

 火の起こし方や星の読み方、毒草の見分け方などを教えていくのかと思ったらそうではなく、「これからの社会において必要となる『生きる力』を身に付けてほしい」と、なんともふわっとしたところに着地したが、「脱ゆとりだけど詰め込み回帰でもなく」を目指したい文科省の思惑はなんとなく伝わるものがあった。なお、この学習指導要領の改定は2008年に行われた。

【参考】生きる力 文部科学省
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/pamphlet/__icsFiles/afieldfile/2011/07/26/1234786_1.pdf