いつ頃からだろうか、世間の価値観もやや変わりつつあった。それまで、「長い時間をかけて努力するほど偉いし、結果につながる」という根性論的な考え方がありがたがられてきたが、「然るべき効率で取り組んで、然るべき成果をあげよう」という脱根性論もひとつのスタンダードになってきた。

 そのような時代なので、ラーケーションや教育版桃鉄と聞くと「ずいぶん”やさしすぎる”のではないか」と感じる向きもあろうが、学習効果を高める可能性を秘めた方法という面からは評価されるべきであろう。

データで見る意外な真実
「Z世代は離職率が高い」は本当か

 ゆとりより上の世代からすると、ゆとり世代もZ世代も育った環境が「やさしい」、もっといえば「ぬるく」感じられる。これはより過酷な環境で育ってきたゆえの妬みも関係していると考えられる。「自分のときはあれだけ大変だったのに、今はそうじゃないなんて」という気持ちから粗探しをしたり、また時代・世代ごとに価値判断の基準が違うので、だから「今どきの若いものは――」という言葉も出てきやすいのである。妬みは人間に自然な感情なので、ある程度は受け入れるべきだが、行き過ぎて暴走しないように自戒しておく必要はある。

 ここ最近では、Z世代がやいのやいの言われているのを度々目にする。いわく「堪え性がない」「自己本位の個人主義で、協調する努力が見られない」などである。「Z世代は離職率がやばい(高い)」と言われ、Z世代取扱説明書的に「Z世代には、押し付けをせずに、彼らを理解せよ」といった指南も数多く聞かれるようにまでなった。

 では、はたしてZ世代になったらどれくらい離職率が上がったのだろうと調べてみると、興味深いことがわかった。参考にしたのは厚労省が昨年10月に出した「新規学卒就職者の離職状況」というデータである。

【参考】 新規学卒就職者の離職状況
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00006.html

別紙1 新規学卒就職者の学歴別就職後3年以内離職率の推移
https://www.mhlw.go.jp/content/11805001/001156476.pdf