今にも落ちそうな景品が
獲れそうで獲れないワケ

 図表36のようなプライズの設定だったらどうでしょう。これは最近、実際に経験した設定です。

図表36同書より 拡大画像表示

 細長い筒型のプライズ(2)がフィールド上に立ててあって、その上に同じ細長い筒型のプライズ(1)が載せてあります。よく見るとプライズ(1)の落とし口側の端(図中左端)は、落とし口よりも前に来ています。プライズ(1)は今にも落ちそうですが、安定してプライズ(2)の上に載っています。

 つまり、プライズ(1)の重心Gはプライズ(2)の上面の範囲内にあることが予想されます。

 一見すると今にも落ちそうで「ラッキー」と思わせ、つい100円硬貨を投入したくなる設定です。「これって、上に載っているプライズ(1)の前方(図中左端)を、下向きに押すだけでいいじゃん」と思ってしまいます。実際に私は、このような状況をよく検討もせず「ラッキー」と思って、何枚もの(つまり1度ではなく何度も)100円硬貨を投入してしまいました。本当、プレイヤーの心をくすぐる設定です。

 さあ、図表36をもう一度よく見てください。

 プライズ(2)の左側の空間(図中D部分)には、プライズ(2)がもう1つ入れそうな空きスペースがありますよね。そして私にとって状況はさらに悪く、プライズ(2)の右側には何もありません。

 つまりプライズ(2)が倒れそうになったとき、それを支えたり、転倒や移動を防ぐはたらきをしたりするものが一切ないのです。この状況でフィールドとプライズ(2)の間の摩擦力がそれほど作用しない場合、プレイヤーにとって、かなり不利になります。プライズ(1)を落とし口に落とすはずが、プライズ(2)が倒れて終わったり、プライズ(2)ごと後ろ側に移動して終わったり……(いずれも経験済みです)。

 ゲーム機によっては、もっと不利な状況にもなりえます。

 これも実際に体験したのですが、UFOメカがフィールドに向かって降りてくるときの高さ(つまり下降する下限の位置)が、ゲーセン側の設定で制限されていたのです!

 そもそもシャベルがプライズの下部まで届かないのです。もう、「事前に教えてくれよ!」と叫びたくなりました。これではプライズ(1)の後側を持ち上げることもできません。