食品で値上げラッシュ!値上げ率平均19%
24年4月、わが国の主要な食品メーカー195社は、2806品目の商品価格を引き上げた。7月までの価格改定予定を含むと、年間の平均値上げ率は19%にも達する。背景にはまず、原材料コストの上昇が挙げられる。
欧州では異常気象でオリーブの不作が深刻化し、オリーブオイルの価格が高騰した。葉物野菜などの値段も高い。また、中東情勢の緊迫化も物価の上昇につながった。原油価格は、サウジアラビアが自主減産を延長などにより上昇した。紅海では武装組織フーシ派による商船への攻撃が激化し、スエズ運河の航行が困難になったことから、喜望峰を経由する船舶が増えている。異常気象による水不足でパナマ運河の通航制限も続いていて、タンカーの運搬コストは上昇の一途だ。
また、4月から国内ではトラックドライバーの時間外勤務時間の上限が、年960時間に規制された(いわゆる物流の2024年問題)。物流大手企業はドライバーの賃金水準の維持、コスト転嫁のために配送料金を引き上げたことも食品価格の上昇要因につながった。
春闘で多くの企業が賃上げに踏み切ったのも、モノやサービスの価格を押し上げた。24年春闘でベースアップ(基本給の底上げ)を表明する企業は増え、全体の賃上げ率は5.28%に達した(連合の第1次集計)。中小企業や非正規雇用者の賃上げも進みつつあり、人件費の価格転嫁を強化する食品メーカーも増えた。
わが国の消費者物価指数を構成する品目において、食料品の価格上昇率は高い。総務省によると、3月中旬時点で東京都区部の消費者物価は前年同月比2.6%上昇したが、食料の上昇率は同4.9%と全体を上回った。
電力料金も値上がりする。4月使用分の電力料金は、一般家庭で前月から441~579円高くなる見通しだ。これは、再生可能エネルギーの普及に向けて政府が電気代に上乗せする「再生可能エネルギー賦課金」の上昇によるものだ。