しかし、「このままでは収入も環境もさほど変わらない」と痛感し、30代以降は収入をものや貯金より、先に経験に“投資”してきました。すると、自分がアップデートされるほど、収入も環境も人間関係も変わっていったのです。

 たとえば「一流の仕事人に会う」「優れた作品に触れる」という経験を重ねるうちに、仕事への意欲も高まって試行錯誤するように。また、「ひとり旅」や「留学」の経験をして度胸がつき、積極的に新しい人間関係に飛び込めるようになりました。

 それに、小さなことでも習慣的に新しい体験をしていると、ワクワクすることがふえて毎日が楽しくなってきます。「あれをやってよかった」という満足や自信も積み重なり、経験への投資は、“心のゆたかさ”というリターンにもなるのです。

金融リテラシーの高い
友人との情報交換が大切

「世の中のお金の動き」は、複雑すぎて理解がむずかしい。税率や保険額が変わったり、円安や物価高が進んだり、新しい仮想通貨や金融商品が出てきたり……と、むずかしい経済用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるかもしれません。対策を打つのを、すっかりあきらめている人が多いのではないでしょうか。

 自分ひとりでお金の仕組みや流れを把握することは不可能。だから、まわりとシェアする必要があります。普段から、お金に関わる話を、気軽に「○○についてどう思う?」と話せる友人をもつといいでしょう。

 たとえば「ビットコインってなに?」「マンションの価格は上がり続ける?」「戦争は経済にどんな影響がある?」などニュースから拾った話題、「年金の受給開始、いちばんお得なのはいつ?」「相続税対策をするには?」など身近な課題を語り合う習慣が定着すると、さらに新聞やネットの経済情報が目につくようになります。

書影『お金の不安がなくなる小さな習慣』(毎日新聞出版)『お金の不安がなくなる小さな習慣』(毎日新聞出版)
有川真由美 著

「お金のことを口にするのはよくない」ではなく、お金の不安をなくすためには、お金について建設的に話す必要があるのです。

 自分や家族をトラブルから守ったり、お金を有効に遣ったりする知識や判断力“金融リテラシー”は、ますます必要になってきます。「家計に関わる情報交換ならAさん」「社会情勢を語り合うならBさん」「株情報ならCさん」「重要事項は税理士や社会保険労務士など専門家」というように、何人かお金の話ができる人を確保しておくと心強いもの。

 ただし、相手の話を鵜呑みにせず、自分でもある程度は調べたり、多方面から意見を聞いたりして判断することが、金融リテラシーを高めるヒケツです。