中国マフィアの行動論理
断定はできませんが、アジア系の犯罪グループが関与している可能性を指摘しました。では、彼らはどのような論理で行動しているのでしょうか。一般の方もいつどこで、彼らとのトラブルに巻き込まれるかわかりませんから、知っておいて損はないでしょう。
日本にいるアジア系の犯罪組織の中でも、中国マフィアは基本的には周囲と共存しようとし、争いを避けようとする傾向があります。ただし、彼らのビジネスを邪魔されない限りにおいては、という条件付きです。妨害されていると判断すれば、相手が暴力団であろうと容赦なく襲撃します。
2002年に歌舞伎町の喫茶店で住吉会系の幹部が中国マフィアのメンバーに拳銃で襲撃された「パリジェンヌ事件」、2014年に赤羽で起きた山口組系組員と中国マフィアのメンバーの乱闘事件など、多くの抗争が発生しています。
中国マフィアの「しのぎ」は密航ビジネスです。最近では、詐欺などにも手を染めているようですが、元々は中国から日本に人を連れてきて、住む場所や仕事を斡旋することで資金を稼いでいます。
中華系飲食店は、それ自体がしのぎになっているだけではなく、密航者をかくまうために重要な役割を果たす場所としても機能しています。密航者は就労ビザが取れませんから、日本企業で働く場所を探すことはほぼ不可能です。同胞が経営している中華系飲食店の厨房などは、受け入れ態勢も整っていますし、何より職質の手も及びませんから、比較的安全と言えます。
もし、飲食店の営業を妨害されて経営が立ち行かなくなれば、飲食店からの密航ビジネスに影響することになります。こうなると、中国マフィアのビジネスを妨害することになりますから、彼らも容赦なく抵抗してくることが想定されます。
すべての中華系飲食店がマフィアに加担しているという差別や偏見に繋げることはあってはなならないことは言うまでもありません。
事件は、実行役に車を提供した平山容疑者と指示役の佐々木容疑者の2人が逮捕されたところです。今後は、実行役の逮捕、そして事件の背後に組織的関与がないのかについて真相が究明されることが急がれます。